治療中の生活(成人):よくある質問・何でも相談室:矯正歯科治療のお話|質の高い矯正治療と安心の提供に努める矯正歯科専門の開業医団体「日本臨床矯正歯科医会」

治療中の生活(成人)

矯正装置をつけると、発音や食事がしづらいと聞きますが、どの程度でしょうか?

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4.治療中の生活

Q. 矯正装置をつけると、発音や食事がしづらいと聞きますが、どの程度でしょうか?
A. 慣れるまでは多少気になるかもしれませんが、時間とともに気にならなくなります。


発音

 歯の表側につける矯正装置の場合は、発音にあまり影響は出ません。しかし、歯の裏側に装置をつけたり、治療終了後の歯並びの後戻りを防ぐ保定装置(リテーナー)をつけたりすると、当初、舌を歯の裏側につけて出す「サ行」や「タ行」、特に英語では「Th」などの音が出しにくくなります。ただし、これはほとんどの場合、1〜2週間も経てば慣れてきて、普通の発音ができるようになります。

食事

 装置をつけた当初は、やわらかめのものを中心に、食べものを小さく切ってゆっくりと食べましょう。装置に慣れて歯の痛みがなくなれば、ほとんどのメニューは問題ありません。

 あえて避けたほうが無難なものを挙げるとすると、粘着製のあるガムやキャラメル、お餅、お煎餅、氷、スルメ、フランスパンなどです。ただし、これらも患者さんの中には「特に問題なく食べている」という方もいらっしゃるので、個人差があります。

 また、ブラケットとワイヤーをとめる「エラスティック リガチャー」や歯を移動させるための「エラスティック モジュール」という歯科材料は通常、透明なので、食べものによっては着色してしまいます。そのため、カレーなど色の濃い食べものは通院の前日(通院の際、モジュールを取り替えるため)に食べるという方もいらっしゃいます。

エラスティックに着色しやすいもの

  • ・カレー類(ドライカレー、ハヤシライス、ケチャップライス)
  • ・トマトソース、デミグラスソース系の煮こみ料理
  • ・トマトソース系のパスタ
  • ・赤ワイン

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治療中でも、スポーツや楽器の演奏は普通にできますか?

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Q. 治療中でも、スポーツや楽器の演奏は普通にできますか?
A. たいていのスポーツは問題ありません。
楽器は種類によっては慣れが必要です。


身体能力アップのために治療するアスリートも

 最近では、ヤクルトスワローズの青木宣親選手やフィギュアスケートのキム・ヨナ選手のように矯正歯科治療をしながらプロスポーツ選手として活躍している人も見かけます。また、アメリカのプロ野球大リーグで活躍する松坂大輔選手も矯正歯科治療を受けました。このように、一般的なスポーツで矯正歯科治療がネックになることはほとんどなく、逆に身体能力を高めるために積極的に治療するケースが増えています。ただ、ボクシングや空手、柔道といった格闘技系を行う場合は、矯正装置で口の中を切る事故につながりやすいため注意が必要です。

 スポーツ中、装置が気になるようであれば、マウスピースなどでカバーする方法もあります。

管楽器の演奏は、慣れが必要

 楽器の中でも矯正歯科治療をすることで影響があるのは、主に管楽器です。管楽器の中でも、フルートのような木管楽器やマウスピースの大きい金管楽器なら支障はありませんが、シングルリードのクラリネットやサキソフォンは装置に慣れるまでは思うような音が出しにくいかもしれません。トランペットやホルンのようなマウスピースの小さい金管楽器は、くちびるを楽器に押し当てて演奏するため、くちびるの粘膜に痛みが出たり、高音が出しにくいことがあるでしょう。また、サックスやクラリネットのような縦笛系統の楽器は、指しゃぶりと同じような力を歯に与えるため、出っ歯や開咬(かいこう)になりやすく、治療中の歯の動きを妨げることもあります。

 矯正歯科治療中も管楽器の演奏をする場合は、大切なコンクールや演奏会の日程を見越して治療を進めることもできます。また、矯正歯科でお渡しするワックス(粘膜を傷つけないように装置のまわりに貼るもの)を使うと、吹きやすくなることもあります。くわしくは矯正歯科医におたずねください。


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歯が動くときの痛みはどの程度ですか?

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Q. 歯が動くときの痛みはどの程度ですか?
A. 痛みの感じ方には個人差がありますが、慣れると気にならなくなるようです。


 矯正歯科治療の初期段階では、あらかじめ歯列の形に調節したワイヤーを使用することで、少しずつ歯を動かしていきます。

 このとき、理想的な歯列からはずれている歯には相対的に強い力がかかることになるため、痛みを強く感じることがあります。矯正装置をつけた直後や通院後の数日間に集中していますが、これは歯が動くことによる痛みであり、正常な反応です。この間は、かたい食べものを力強く噛むのは難しいかもしれませんが、治療が進むと痛みの程度や期間は徐々に減少し、ほとんど気にならなくなるのでご安心ください。

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歯並びがよくなると顔つきが変わると聞きましたが、実際にはどのように変わるのでしょう?

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Q. 歯並びがよくなると顔つきが変わると聞きましたが、実際にはどのように変わるのでしょう?
A. 顔や口もとがすっきりするので、見た目も気持ちも若々しくなる方が多いようです。


 歯並びが整っているかどうかの目安となる「ライン」があるのをご存知でしょうか。代表的なものが、鼻先と下あごの先(オトガイ)を結んだEライン(エステティックライン)です。日本人の大人の場合、上くちびるがEラインの線上か少し内側に、下くちびるがほぼライン上にあるのが美しいとされています。


 しかし、上や下の歯が前に出ていると、横から顔を見たときに、くちびるがEラインの外に出てしまうケースがあります。矯正歯科治療をすることによって、そうしたくちびるの位置をEラインに近づけることができるので、口もとがすっきりして見えるのです。

 同じように、正面から見て口を閉じたとき、くちびるの下に梅干のようなシワが寄ることがありますが、これも矯正歯科治療で歯を後ろに下げることによって少なくなります。

 また、矯正歯科治療に外科手術を併用すると、骨格的な変化が起こるため、バランスのとれた顔だちに。特に骨格的な受け口の場合、長い下あごを短くすると“小顔”になります。

 きれいな歯並びを獲得し、笑顔に自信がもてるようになると、自分みがきに拍車がかかるもの。治療をして顔つきが変わるといわれるのは、精神面での変化もおおいに関係しているといえるでしょう。

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治療中に妊娠したら、どうなりますか?

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Q. 治療中に妊娠したら、どうなりますか?
A. 矯正装置をつけている段階なら、特別な問題はなにもありません。


 すでに矯正装置をつけて動的治療をしているのであれば、妊娠しても特に差し障りはありません。

 通常は臨月までは通常どおり治療を進め、来院間隔を空けながら出産準備を優先します。しかし、悪阻(つわり)がひどいときや体調がすぐれないとき、または、かかりつけの産婦人科医の指示で安静が必要になった場合には、矯正歯科治療を一時中断することもあります。また、エックス線撮影や処方する薬剤に関しては注意が必要となります。

 矯正歯科治療を再開するのは、出産後、母子ともに落ち着いてからで構いません。

 妊娠前後はホルモンのバランスが変化するため、普段より歯ぐきが腫れやすくなり、むし歯や歯周炎にもかかりやすくなるといわれています。生まれてくる赤ちゃんのためにも、日ごろの歯みがきをていねいに行い、健康な歯を守りましょう。

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