vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合:トレンドウォッチ:本会の活動・ニュース|質の高い矯正治療と安心の提供に努める矯正歯科専門の開業医団体「日本臨床矯正歯科医会」

vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合

vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合


おとなの矯正歯科治療、わたしの場合

年齢を問わずにできる歯並び・咬み合わせの改善

■第一印象を左右する口もと

誰もが年齢を重ねても美しく、健やかでありたいと願うもの。では、心身ともに健やかでいるために大切なことは何でしょう? 運動習慣を取り入れる、食事に配慮する、よく眠る……どれも大切なことですね。さらに見た目を磨くために、エステに通ったり、スキンケアを熱心に行ったり、という方も少なくないのではないでしょうか。

実は、これらに加えて重要なのが、”口もと”。具体的には、よく噛める整った歯並びです。この調査結果をご覧ください。

調査:歯並びで第一印象が左右されると思う

「歯並びで第一印象が左右されると思うか」との問いに、「思う」と答えた人は20.4%。これに「やや思う」と回答した52.2%を合わせると、72.6%もの人が第一印象における歯並びの大切さを感じていることがわかります。

また、別の調査では、「人の顔を見るとき、目もとに次いで口もとに目が行く」という結果も出ています(2009年 日本臨床矯正歯科医会調べ)。笑ったり、話したり、食事をしたりと、口は社会生活の窓といえる部分。と同時に、目と同じく感情をあらわす部分でもあります。それだけに、笑ったときに口もとからのぞく、すっきりと整った健康的な歯並びは、メイクよりもファッションよりも、その人を若々しく美しく見せてくれるのです。

■歯並びに自信が持てない日本人

そんな第一印象を左右する歯並びですが、残念ながら日本では46.2%の人が自分の歯並びに自信が持てず、25.9%の人が歯を見せて笑うことに抵抗を感じることがわかっています。

調査:歯並びに自信がある・歯を見せて笑うことに抵抗を感じる

こうした中、注目されているのが矯正歯科治療です。
矯正歯科治療は、かつては子どもがするものと考えられていましたが、今では歯肉や歯槽骨(しそうこつ:歯を支える骨)などに問題がなければ50代でも60代でも、年齢を問わずに受けられることがわかっています。

実際、18歳以上のおとなの患者さんの割合は、近年増加傾向にあります。矯正歯科治療を行う専門開業医の団体である日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)の神奈川支部の調査によると、1988年には15%だった割合が、1998年には25%、2003年には32%に達しているという結果が出ています。

その背景には、エイジングケア意識の高まりだけでなく、矯正歯科治療が年齢不問の治療であることが広まってきたこと、目立たない矯正装置が普及してきたこと、そして世の中の人の健康意識が高まり、歯並びや咬み合わせの大切さに目を向ける人が増えてきたことなどが挙げられるでしょう。

■短期集中的に進む、おとなの矯正歯科治療

では、おとなの矯正歯科治療は子どもの場合と、何が、どのように違うのでしょうか?
力を加えれば歯が動くのは、おとなも子どもも同じ。ただし、おとなの場合は歯槽骨や歯同組織の代謝活性が下がっているため、育ちざかりの中高生のようには動きません。また、歯や歯周組織に何らかの問題があることも少なくないため、その場合はまずそちらの治療を優先し、矯正歯科治療に入る際は通常よりも弱い力で歯を動かしていくことに。そのため、歯を動かす期間は子どもよりも長くなる傾向があるとされています。

さらに、おとなはあごの大きさが完成しているため、例えばあごの大きさに対して歯が並びきらずにデコボコしている場合などは、歯を抜き、抜いたスペースを利用して歯列をきれいに並び替えることになります。

こう書くと、おとなの治療は厄介! と思うかもしれませんが、メリットもあるのです。それは子どものように治療期間が2期に分かれないため、短期集中的に治療が進むということ。また、おとなになってから治療を始める方は矯正歯科治療へのモチベーションが高いため、結果的に治療がスムーズに進みやすいのも、大きなポイントです。


〈おとなの矯正歯科治療は、子どもの場合とこう違う〉
● 歯槽骨や歯肉の造り替わりが遅いため、歯の移動に時間がかかる。
  そのため、同じことをする場合、治療期間は子どもよりも長くなりがち。
● あごの骨が成長期にある子どもに対し、おとなはあごの骨の成長が止まっているため、
  歯を歯槽骨の中で動かせる範囲での治療となる。
  そのため、あごの位置が大きくずれている場合は、外科処置を併用した治療となる。
● 全体的な治療だけではなく、部分的な治療を行うこともある。
● 矯正装置への違和感、調整直後の痛みは、子どもに比べて強い場合が多い。
● 治療の動機がハッキリしていることが多いため、治療に対するモチベーションが高い。

以上の基礎知識をもって、さっそく今回の本題へと入りましょう。
次のページからは、年代の異なる3名の患者さんへのインタビューを通して、おとなになってから治療を始める意味と意義を探ります。

これを読んでいるあなたの参考になることが、きっとあるはず!

★次のページでは、20代で治療をスタートしたM.Kさんにインタビュー!