vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合 インタビュー3

INTERVIEW-3
長年のコンプレックスだった歯並びを治して、これからも自分の歯で食事をしたい
長年、不正咬合に悩み、自分の歯を見せることに抵抗が大きかったというM.Iさん。
59歳で治療をスタートして以来、その思いはどのように変化してきたのでしょうか?

M.Iさん
What do you mean?

※顎間ゴム
 =主に上下の咬み合わせを改善するために使われる小さな輪ゴム。
顎間ゴム

■治療前のこと

――もともとの歯並びはどんな感じでしたか?
私の場合は反対咬合で、実は小学2~3年のときに矯正歯科治療を受けているんです。今から50年以上も前ですから、当時は矯正歯科というものがなく、普通に歯科医院での治療でした。その方法も今とは違って、奥歯にかぶせるような装置をつけて治療しましたね。その治療で反対咬合は一応治ったのですが、永久歯に生え変わったときにデコボコになってしまって。さらには、右側に歯が突出していって、あごが少しずつ曲がってしまったんです。変だなとは思いましたが、当時は八重歯が可愛いといわれる時代でしたし、若さもあったのでさほど気にはしませんでした。

年齢とともに歯列が崩れてきたというIさん。写真からも下あごが出ているのがわかる。

――咬み合わせが気になり始めたのはいつ頃ですか?
結婚して子どもが生まれてから、30代のころですね。というのも、次女が私と逆で上あごに比べて下あごが小さかったんです。自分のことがあったので、娘の歯並びが心配で。矯正歯科に連れていき、そこで自分のことも相談してみたところ、外科手術を併用した矯正歯科治療をすすめられたんです。でもそれをするには入院も必要だし、術後は流動食になるようなので、当時は子どもも小さかったので断念しました。なので、コンプレックスはずっと解消されませんでした。

――50代後半で治療に踏み切られたきっかけは?
年齢とともに、上の前歯のデコボコがひどくなってきたんです。それで、なんだか変わってきたなあと思って、かかりつけの一般歯科に「今から矯正歯科治療ってどうなんでしょう?」と聞いてみました。すると「まだ大丈夫ですよ。専門の先生に相談してみてください」と。それでホームページをみて、あごの専門医である矯正歯科を訪ねたんです。

――では治療先はご自分で探されたのですか?
そうです。決め手はあごの専門医だということでしたね。私としては、今度も外科手術を併用する矯正歯科治療をすすめられるんじゃないかなと思っていたんです。それで、もし今回もそういわれたら、やろうと思っていました。骨粗しょう症で薬を飲んでいるので、主人は体に影響があるのではと心配していましたけれど。でも、長らく自分の口もとがコンプレックスで、曲がったあごが気になって、しゃべるときも口に手を当てていたので、人生に後悔がないように今度こそ治したいと、自分としてはそう思っていたんです。

――治療前は、あごの痛みや食べにくさなどもあったのでしょうか?
いいえ、咬み合わせで食事に問題などはありませんでした。歯周病も特になく、歯や歯肉は健康でした。私自身、年齢を重ねて歯が汚いとよけいおばあちゃんになってしまうので、そうならないようにと、3か月に一度は一般歯科で歯のクリーニングをしてもらっていたのも大きいように思います。

デコボコはあるものの、丁寧にケアされた口の中。歯肉も健康だった。

――治療の前には、抜歯もされたのですね
はい、矯正装置をつける前に4本抜きました。抜くのはそれほど大変ではなかったですよ。抜歯の必要性も説明を受けて納得もできましたし。よくホームページを見ると歯を抜かない矯正などもあるようですが、かかりつけの一般歯科でも私の場合はそれでは無理だといわれたので、しかたないと思っています。4本抜いて、今は自分の歯は24本になりました。この残った歯を長持ちさせるために、矯正歯科治療は時間をかけてゆっくりと歯を動かしてもらっています。

■治療中のこと

――治療を始めていかがですか?
先生に「折り返し地点は過ぎましたか?」と伺ったら、「まだです」といわれました(笑)。歯に負担をかけないようにゆっくり動かしていますからね。歯が動く痛みは最初の1週間くらい感じましたし、今も夜中に目を覚ましたときなどに圧迫感を覚えたりしますが、子どもの頃の治療のほうが痛かった気がします。

――治療をしてどんなプラスの変化がありますか?
矯正装置がはずれたら実感すると思いますが、今はまだですね。でも、長年やりたいと思っていたことを実行できているという点では、気持ちがさっぱりした感じです。まだ治療中ですが、自分の中でのわだかまりがすっかり消えました。

――逆に、今気になっていることは?
しいていえば、下の歯にブラックトライアングル(歯間と歯肉の間にできる三角形の隙間)があることですね。歯肉が退縮するともとに戻らないので、それが老けて見えないかしらと気になります。先生からは歯間ブラシやフロスを無理にせず、一番細いものでするようにといわれているので、その通りにしていますが。あとは食事の後、歯の隙間や装置の間にものが詰まるので、歯みがきは欠かせません。

時間をかけてきれいに並んできた歯並び。

――歯みがきはどんなふうにされていますか?
細い歯間ブラシで歯の間の食べかすなどをとって、先の細い歯ブラシで奥歯や矯正装置の間を磨き、その後に2列歯ブラシで全体をざっと磨いてから普通の歯ブラシで磨きます。時間は1回につき15~20分かけていますね。

――治療が終わったら何がしたいですか?
大きな口を開けて笑いたいですね。やはり今までは口をふさいで笑っていましたから。今もまだあごは少し曲がっていますが、以前と比べるとずいぶん改善されました。それが何よりも嬉しくて、娘と一緒に写真を撮ったりして楽しんでいます(笑)。

あと、今87歳の母には、ぜひともきれいになった口もとを見てもらいたいですね。子どものころ、母のすすめで治療をして、うまく治らなかったことに母は責任を感じていますから。

――最後に、「歯の大切さ」についてひとことを
やはり歯並びは大切です。よく噛める自分の歯があれば、おいしくものが食べられます。家族みんなでおいしく食事ができるのは、本当に幸せなこと。口は体のエネルギー源を取り込むところですから、そこがダメになったら人生終わりです。治療後も歯のメンテナンスをきちんとして、今ある24本の歯を大切にしていきたいと思っています。

主治医 ■主治医からのことば
矯正歯科治療は歯肉の状態さえ問題なければ、いくつになっても治療はできます。Iさんの場合、むし歯もなく口の中の健康状態は良好だったので、すぐに治療に入れました。
ただし、ホルモンバランスの変化により、女性は50代から骨粗しょう症のリスクが高まります。Iさんもお薬を服用されているため、そのことに配慮して、慎重にゆっくりと歯を動かしています。一般的に、おとなのほうが子どもより矯正装置の異物感を覚えやすいのは、年齢とともに唾液の量が減ることも一因です。これは自然なことですから、治療前にそのことも伝え、異物感が気になる場合の対策もお伝えしています。
今や、人生90年時代。その意味では60代はまだまだこれから。長年のコンプレックスを改善することで、この先さらに楽しく心豊かに過ごしていただきたいと思っています。

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