矯正歯科医ならアライナーをどのように用いるか?

矯正歯科医ならアライナーを
どのように用いるか?


■上下顎左右側第一小臼歯を抜歯し
 インビザライン+マルチブラケット法を用いた治療した症例


前出の稲毛先生は、アライナーを使った治療がよくないというのではなく、大切なのは使い方だと強調します。 つまり、歯の移動量が少なく、骨格的なずれや歯根部の問題などがない患者さんに対して、十分な精密検査を行ったうえで使用するのは問題ないのです。

「ただし、矯正歯科の専門教育を受け、専門的知識と技術をもち、かつ臨床経験を積んだ矯正歯科医は、十分な精査と診断に基づき、最終的な治療のゴールを見据えたうえで、数ある装置の中から治療に最適だと考えられるものを選定します。つまり、すべての症状に対して単一の装置を用いることはありません」と稲毛先生。

たとえ患者さんがアライナーを強く希望しても、その方法だけでは治療目的が達成できない可能性があること、そしてその場合に備えて代替治療が必要になることを事前に伝えておくこと、それが信頼できる矯正歯科医だというわけです。

次にご紹介するのは、矯正歯科医が患者さんに上記のような説明を経たうえで、マルチブラケット法を併用してアライナー治療を行ったCさんのケースです。

●治療前 2009年8月
治療前
治療前の歯並びは上下ともに歯のデコボコが目立ち、Cさんはアライナーを使って横からの見栄えをよくしたいという希望をもっていました。しかし、主治医である矯正歯科医は、アライナーによる治療ではそこまでの大きな変化は無理だということを伝え、それでもというCさんの希望に沿って、限定的にアライナーを選択しました。

●治療中 2011年5月
治療中
Cさんの場合、治療の最終段階では下あごの歯全体と上あごの前歯の部分にアライナーを使用し、上あごの奥歯にはブラケットを装着しました。その理由は、奥歯の咬み合わせをよりしっかりとするため。上あごは通常のブラケットを選択し、下あごについているアライナーのアタッチメント(用語解説③)を矯正用のゴムで下方に引っ張りながら、奥歯の咬み合わせを調整していきました。

用語解説③ アタッチメントとは?
アライナーを用いる際、歯に張り付ける、白くて小さいプラスチック素材。アタッチメントを貼り付けた上からアライナーをかぶせることで、アタッチメントの部分に力が加わり、歯を動かしやすくする。 アタッチメント


●治療後 2011年10月
治療後 こうして進んでいったCさんの矯正歯科治療。治療開始から約2年で、すっきりとした機能的な咬み合わせとなりました。

【まとめ】
1. アライナーには推奨される症例と、推奨されない症例がある
2. アライナーが推奨される症例かどうかは、矯正歯科の専門教育を受け、専門的知識・技術を持ち、
  かつ臨床経験を積んだ矯正歯科医の十分な精査・診断が必須である
3. アライナーを用いた矯正歯科治療で治療目標が達成できない場合は、マルチブラケットを用いた
  矯正歯科治療などによる代替治療が必要となる


参考:矯正歯科医会のアンケート調査の結果から、
アライナーを用いた矯正歯科治療の問題点が浮かび上がります!

矯正歯科医会が2018年8月、アライナーを用いた矯正歯科治療の実態を把握するために全国にいる矯正歯科医会の会員(矯正歯科専門開業医)を対象に実施したアンケート調査の結果です。

*治療対象期間:2017年7月~2018年6月
*回答数:420名中139人
●アライナーを用いた矯正歯科治療に不満を抱いて転医や相談に来た患者さんの有無は?
回答した矯正歯科医の3人に1人が、他院で実施されたアライナーを用いた矯正歯科治療に不満を抱いた患者さんから転医や相談を受けていることがわかりました。 グラフ1

●他院で行ったアライナーを用いた矯正歯科治療の不適切だと思われる点は?
相談を受けた矯正歯科医の約半数が治療費を高いと感じ、約7割の会員が治療期間について不適切だと感じていました。 グラフ2

●前歯科医院で治療を担当したのは、どのような勤務形態の歯科医師か?
相談の背景には、矯正歯科に関する専門的な学問知識や臨床経験を持たない一般歯科医が治療にあたるケースが多いことや、非常勤矯正歯科医が限られた時間内で治療を担当するなど、診療態勢が整っていないことが挙げられました。 グラフ3


★次のページでは、アライナーを用いた矯正歯科治療を安心して受けるためのチェックポイントをご紹介!

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