2015年4月 4日
第9回「ブレース スマイル コンテスト」レポート&インタビュー

「プレーススマイルコンテスト」表彰式レポート①
歴代の最優秀賞受賞者8名に共通するのは堂々とした輝く笑顔!
■全国から多数のスマイルフォトが集まった
第9回「ブレース スマイル コンテスト」
「ブレース スマイル コンテスト(以下、ブレスマ)」。それは矯正歯科専門開業医の全国組織である公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)が、矯正歯科治療中の患者さんのスマイルフォトを募集するコンテストです。2005年度にスタートして以来、毎年開催されているブレスマには、毎回ブレース(矯正装置)をつけた笑顔の写真が数多く寄せられています。
第9回目を迎えた2013年度も、「希望あふれる笑顔」というテーマのもと、全国の7歳から66歳という幅広い年齢層の方から236作品ものスマイルフォトが送られてきました。
その中から1次、2次と厳正な審査を行い、最優秀作品と優秀作品、そして大会特別賞を選出。去る2月12日(水)午後2時から、仙台国際センターの大会議室において表彰式が執り行われました。
まずは、その表彰式の様子からご紹介しましょう。
■矯正歯科治療は年齢不問だからこそ
表彰式では、最初に過去の最優秀賞に輝いた作品がステージのスクリーンに大きく映し出されました。
北海道のひまわり畑を背景に弾けるような笑顔を見せる松本さんの作品、生まれたばかりのわが子との幸せそうなツーショットが印象的な松澤さんの作品、そして整ってきた歯並びを鏡で表現した中西さんの作品......。改めて見ると、最優秀賞に輝いたのは、子どもからシニアまでの幅広い世代。その共通項は、どれも"輝くような笑顔"が魅力的だということです。

歴代の受賞作品を振り返った後は、昨年の最優秀賞受賞者である山本広美さんから届いた応援メッセージが紹介されました。
山本さんからの応援メッセージ

昨年、表彰式に出席した山本さんは、とても60代とは思えない若々しい印象の女性でした。
それは単に見た目だけのことではなく、年齢にとらわれず、気になる歯並びを治療して人生をさらに充実させたいという内面の前向きさの表れなのかもしれません。
実際、矯正歯科治療には年齢による制限がありません。歯ぐきの状態がよく、「治療を始めたい」という気持ちがあれば、年代相応の配慮は必要になるものの、いくつになっても治療を受けることができるのです。
「私の受賞によって、そのことがさらに世の中に広まれば」
昨年の表彰式でそう語った山本さんの想いが、この応援メッセージからも感じられました。
★次のページでは第9回ブレスマの受賞者とその作品をご紹介!
2015年4月 3日
第9回「ブレース スマイル コンテスト」レポート&インタビュー
「プレーススマイルコンテスト」表彰式レポート②最優秀賞1名・優秀賞2名・東北大会賞1名にあたたかな拍手が送られました
■東北大会賞は、青森県在住の戸舘さん
さて、いよいよ表彰の始まりです。
最初は、表彰式の開催地である宮城県にちなんで設定された東北大会賞の発表から。
東北大会賞に選ばれた青森県在住の戸舘 円(とだて まどか)さんはこの日、残念ながら都合によりご欠席でしたが、この日のために書き送っていただいた喜びの声が読み上げられました。
戸舘さんからの受賞メッセージ

戸舘さん、おめでとうございます!
■優秀賞は、キュートな笑顔が素敵な萩原さんと袖林さん
続いて、優秀賞2作品に選ばれた茨城県在住の萩原 宏樹さん(10歳)と、岩手県在住の袖林 佑希奈さん(27歳)の表彰です。
萩原 宏樹さんの応募コメント
袖林 佑希奈さんの応募コメント
司会者に名前を呼ばれると、お二人は少し緊張した表情で順にステージの中央へ。
賞状と記念品を受け取り、それぞれの主治医より「おめでとうございます」の言葉とともに両手いっぱいの花束が贈呈されると、お二人から満面の笑みがこぼれました。
萩原さん、袖林さん、おめでとうございます!
■最優秀賞は、沖縄の海にも負けない笑顔の山本さん
そして、お次はいよいよ最優秀賞の表彰です。
今回、236作品の中から栄えある最優秀賞に輝いたのは、東京都在住の山本 俊太朗さん(11歳)、作品名は「お口の中もエメラルドグリーン」でした。
ステージの大きなスクリーンに、青い海と空に負けないくらいの爽やかな笑顔を見せる山本さんの受賞作品が映し出されると、会場からは大きな拍手がわき起こりました。
山本 俊太朗さんの応募コメント
山本さん、おめでとうございます!
大会賞の戸舘さんには賞金が、そして優秀賞に選ばれた荻原さんと袖林さん、最優秀賞に輝いた山本さんには、それぞれ賞金と、副賞として東京ディズニーリゾート2デイパスポート(ペア)と東京ディズニーリゾートギフトカード5万円分が贈られました。
ブレスマの受賞がよい記念となり、この先の治療ライフがより充実したものとなることをお祈りいたします。
★次のページでは、最優秀賞の山本さんにインタビュー!
2015年4月 2日
第9回「ブレース スマイル コンテスト」レポート&インタビュー
最優秀賞者インタビュー最優秀賞を受賞した山本俊太朗さんに、
矯正歯科治療を始めたきっかけや治療について思うことなどをうかがいました。
「毎月の通院でカラーゴムを選ぶのが楽しみです!」
--受賞を聞いたときのお気持ちは?
受賞するとはあんまり思っていなかったので、電話がかかってきたときはビックリしました。すごくうれしいです。
--応募作品はどこで撮ったものですか?
去年の夏、家族で沖縄旅行に行ったときにお父さんが撮ってくれました。その前に矯正歯科でこのコンテストのチラシをもらっていたので、沖縄だったら景色がきれいだし、いいかなと思って。お父さんがカメラ好きなので、どこかに行くと、僕をいろんなところでたくさん撮ってくれるんです。だから、沖縄で撮った写真はほかにもたくさんあるんですけど、いちばん笑顔と海がよく撮れていたのを選んで応募しました。
--矯正歯科治療を始めたきっかけは?
前歯が出ているのを治すためです。僕自身、歯が出てるのがちょっと気になっていたんです。でも、お母さんのほうがもっと気にしていたと思います。そんなときに学校の歯の健診で『問題あり』という手紙をもらったので、矯正歯科に行くことにしました。自分に治したいっていう気持ちがあったのと、クラスにも治療してる子が2~3人いたので、ブレース(矯正装置)をつけるのは、そんなにイヤじゃなかったです。
--治療先はどうやって探しましたか?
お母さんが家から通いやすいところを選んでくれました。クラスの子もそこに通っていたから、ここなら安心かなっていうことで。先生もやさしくて、通院してワイヤーをかえてもらうときも痛くないから、いつも診察台では眠っちゃいます(笑)。
--毎日の歯磨きはどんなふうにしていますか?
まず、僕は矯正の治療を始める前、むし歯がたくさんあったので、その治療をしました。だから、ブレースをつけてからは、むし歯ができないように、週に1度は染め出し液※を使ってみがけてないところをしっかりみがくようにしています。矯正歯科で、奥歯と前歯の裏側をしっかりみがくようにっていわれてるので、がんばっています。
ただ、毎日時間をかけて全部みがくのは大変だから、矯正の先生からもらったカレンダーに「今日しっかりみがく場所」を書き込んで、月曜から土曜まで、それを守るようにしています。そして日曜は染め出し液を使って、ちゃんとみがけてるかを確認します。
--治療について今、どんなことを思っていますか?
毎月の通院でカラーゴム※の色をかえるのが楽しみです。今日は春を先取りしてオレンジとピンクのカラーゴムです。1年くらい前にブレースをつけたときはちょっと痛かったけど、1日で慣れて、今ではほとんど気になりません。でも、大好きなポップコーンを食べるとブレースにはさまっちゃうから食べるのをガマンしています。ブレースがはずれたら、たくさんポップコーンが食べたいです!
高分子化合物のこと。ブルーやピンクなど、カラフルな色がたくさんある。

「俊太朗くんは穏やかで真面目な患者さんで、ルービックキューブの天才です(笑)。うちの待合室に置いてあるルービックキューブの6面をすぐに合わせてしまうんですよ。頭がよくて、運も強いのか、これまで抽選で北海道旅行とか自転車とか、いろんな懸賞で当たったことがあるみたいです。そして今度は、ブレスマの最優秀賞! この受賞は私にとっても名誉なこと。これからもカラーゴムで矯正歯科治療を楽しみながら、きれいな歯並びを目指してほしいですね」(談)
小学1年生からサッカーを続けていて、今はディフェンダーとしてサイドバックを守備しているという山本さん。矯正歯科治療をしていてもサッカーは問題なくできるとのことです。かつて「少し気になった」という前歯も、治療を始めて1年強で凹凸があまり目立たなくなり、受賞作品を見ても、口もとはすっきりとした印象です。これからもスポーツに勉強に、そして歯のお手入れに楽しく取り組みつつ、大きく成長していただきたいものです。
★次のページでは、優秀賞に選ばれたお二人にインタビュー!
2015年4月 1日
第9回「ブレース スマイル コンテスト」レポート&インタビュー
優秀賞者インタビュー優秀賞に選ばれたお二人に今の気持ちをうかがいました!
ブレースをつけていても何でも食べるし、痛みもなし!
恐竜みたいだった歯が治っていくのが、うれしいです
優秀賞 萩原 宏樹さん(10歳)
「去年の夏休みに自由研究で火山について調べるために、浅間山の鬼押出しに行ってきました。受賞した写真は、そのときお母さんに撮ってもらったものです。応募は主治医の先生からもすすめられていたので、ブレースをつけた歯がちゃんと見えるようにいろいろ撮ってもらいましたが、意識しないで撮った写真がいちばん自然に写っていたので、その写真で応募しました。
治療する前、 ぼくの前歯は90度回転していて、恐竜みたいだったんです。自分でも気になっていたし、お父さんにも歯医者さんにも治したほうがいいっていわれたので、歯医者さんに矯正歯科の先生を紹介してもらいました。
矯正歯科は、学校の帰りに歩いて行ける場所にあるから便利だし、先生も衛生士さんも受付のお姉さんもみんなやさしくて話しやすいので、通院するのが楽しいです。
そして、通院するたびにカラーゴムの色をかえるのも楽しみです。学校のみんなは、ぼくが違う色のゴムをつけてると「また変わったね」っていってくれます。ぼくがいちばん好きな色の組み合わせは、青と緑。でも、いつも同じじゃなくて、いろんな色にして楽しんでいます。
ブレースがついていると、カタイものが食べられないとかいいますけど、ぼくはぜんぜん平気。ガムもかめるし、カレーもおせんべいも何でも食べてます。だから、つらいとか、まったく感じません」(談)

「宏樹くんはもともと受け口で、上の前歯が曲がって生えていました。そこで矯正歯科治療で咬み合わせを整えるとともに、舌で前歯を押すクセがあったので、それを直すよう、舌のトレーニングを続けています。治療をはじめて今で1年半ほど経ちますが、舌のクセはずいぶんよくなってきています。明るい宏樹くんは、うちのクリニックのアイドルです。今回の受賞を励みに、これからも明るく楽しく治療を続けていってほしいですね」(談)
コンプレックスだった笑顔に自信が持てた!
そのことが、人間関係や意識を
いい方向に変えてくれました
優秀賞 袖林 佑希奈さん(27歳)
「前歯が出ているのが気になって、ずっと笑顔に自信が持てなかった私が、スマイルのコンテストで賞をいただくなんて思ってもみませんでした。どんな賞よりも嬉しいです。
応募した写真は職場で、自分で撮ったものです。ブレスマに出すために、特別にしっかり笑ってみました。片目をつむっているのは、ブレスマのポスターのマネをしているんですよ(笑)。ああいう笑顔になれたのは、歯並びがよくなって笑顔に自信がついてきたからこそ。笑顔に自信がつくと、やはり人間関係にもいい影響が出るんですね。私自身、治療を始めてから精神的にも元気になれたと思っています。
矯正治療は以前からやりたかったのですが、お金も時間もかかるし、なかば諦めていました。でも社会人になり、お給料をいただくようになって、自分のためにお金と時間を使えるのは今だけかもしれないと思い始め、思い切って治療を受けることにしました。 治療先は、インターネットで調べて、5~6軒は訪ねましたね。その中で、まわりの評判と自分自身の感覚の両方で選んだのが、矯正歯科治療専門のクリニックです。治療を始めてみて、やはり先生はその道のプロフェッショナルだなと感じますね。とても信頼しています。
私は今、人間ドックの看護師をしていますが、矯正の治療を始めたことで、自分の歯についてはもちろん、体や心の健康にもっと関心をもって、自己管理していくことが大事だと実感しました。単に歯だけのことじゃなくて、心身の健康を管理する大切さに気づけたのが、いちばん大きな変化なのかもしれません」(談)

「クリニックで見る袖林さんはキリッとした美人ですが、受賞作ではふんわりした印象で、最初は誰かすぐにわかりませんでした。彼女の魅力が賞を引き寄せたのですね。袖林さんは時間などをきちんと守る、しっかりした患者さんです。そのため治療も順調に進み、もうすぐブレースが外れる予定です。治療が終わったら、キレイな笑顔で思いっきり笑ってほしいと思います」(談)
■最後に・・
受賞者の方々にお話をうかがう中で感じたこと、それは会話の中ですぐに笑顔がこぼれることでした。
これまで気になっていた歯並びが矯正歯科治療によって整い、安定してくると、たとえ治療中であっても嬉しくて、笑顔が増えていくのだということを、そんなふとしたことからも感じました。そのときブレースは"つけているのが恥ずかしい治療器具"などではなく、自分と一緒に未来をつくる"相棒"のような存在になっているのかもしれません。
希望あふれる笑顔のひみつ、それは昨日よりも今日、今日よりも明日と、よりよい方向に少しずつ進んでいるという前向きな実感がもたらすものなのでしょう。
ブレスマはこれからも毎年開催され、2014年の夏には第10回目の応募が始まります。今、治療中の方も、これから治療を始める方も、このコンテストへの応募を、矯正歯科治療中の思い出のひとつにしてみてはいかがでしょう。
>>ブレーススマイルコンテストに関する詳細は、日本臨床矯正歯科医会の公式サイトをご覧ください。
(http://www.jpao.jp/)
2015年3月31日
きれいな歯並びで幸せに生きる!大人の矯正歯科治療の魅力とは?

整った歯並びは魅力的な人生の第一歩!
■矯正歯科治療に大人の女性は興味津々?
2013年11月8日、日本経済新聞社大阪本社の大会議室には、仕事帰りの女性たち53名が集まっていました。その目的は「自分らしく、いきいき働く~大人の歯の矯正を知る~」と題して行われた、矯正歯科医会が協賛する「丸の内キャリア塾スペシャルセミナー」を受講するため。
早めに会場についた受講者の皆さんは、配布された矯正歯科医会監修の本『ハロー! スマイル 今からはじめる おとなの矯正歯科治療』を熱心に読み込んでいます。
治療の流れが書かれたページ、費用について書かれたページ......。歯並びを整える治療とはいったいどんなもので、どんなメリットがあるのかをきちんと知りたいという思いが、その姿から感じられました。
『ハロー!スマイル 今からはじめる おとなの矯正歯科治療』
(小学館スクウェア/952円+税)
午後6時。いよいよスペシャルセミナーの始まりです。幕開けは、富永雪穂先生(矯正歯科医会 会長)の基調講演から。 富永先生は、スライドを見せながら、歯並びが悪いと歯周病になりやすいだけでなく全身疾患や健康への障害につながる可能性もあること、そして口もとのコンプレックスから社会生活への障害にもなりかねないことを指摘。その上で、「矯正歯科治療で歯並びを整えることで、よく噛めるようになるのはもちろん、口もとのバランスが改善することでセルフイメージが向上し、人に与える印象もよくなります」と解説すると、あちこちでメモを取る姿が。
噛むという機能性と、見た目の美しさという審美性の改善を図る矯正歯科治療は、身体と心の両面に、よい影響を与えることができるのです。
また、矯正歯科治療を受ける場合、クリニックの選び方として
①そのクリニックに、常勤の矯正歯科医がいるか?
②治療中に転居などでクリニックを変わる場合の対応はどうか?
③知人や地域での評判はよいか?
...などをチェックすることがすすめられました。
そして最後に、「ご自分で治療先を選ぶことに不安がある場合は、信頼できる一般歯科の先生から矯正歯科を紹介してもらうか、矯正歯科医会や日本矯正歯科学会のホームページなどで情報を収集するのがよいでしょう。豊富な経験に裏付けられた高い医療技術を備えた矯正歯科の専門開業医のもとで治療を受けることをおすすめします」と話し、講演をしめくくりました。
★次のページでは「口もとのコンプレックスを解消する5つのポイント」をご紹介!
2015年3月30日
きれいな歯並びで幸せに生きる!大人の矯正歯科治療の魅力とは?
ゲスト講演口もとのコンプレックスを解消する5つのポイントとは?
■治療を受ける前に、知っておきたい5つのこと
続くゲスト講演は、「なりたい自分への一歩、大人の女性におすすめする矯正歯科治療の実際」と題し、 宮崎晴代先生(東京歯科大学歯科矯正学講座 講師)が壇上へ。
宮崎先生は、矯正歯科専門医としての立場から、よりよい矯正歯科治療を受けるためのポイントとして5つの点を挙げ、 それぞれの説明がなされました。その要点は次のとおりです。
歯並びの治療を通して理想の自分に近づくには、治療する前にまず、正しい歯並びの基準を知っておきましょう。その上で、前後・左右・上下のバランスはどうか? 歯間のスペースは? 口もとのかたちは? 歯や歯周組織の状態は? 咀嚼(そしゃく)や会話などの機能に問題があるか? など、自分の歯並びの状態を知っておくことが大切です。
あごの発育が終わった大人の治療に用いられるのは、主にマルチブラケットという矯正装置。また、症例によっては矯正歯科治療用のアンカースクリューという金属製の小さなネジをあごの骨に埋め込み、歯を動かす際の固定源として用いることもあります。ほかにも矯正装置を歯の裏側につける方法や、マウスピースのような取り外しができる装置を使う方法など、いくつかの治療法が。
なお、矯正歯科治療では、よく噛める美しい歯列にするために、必要に応じて抜歯を行う場合もありますが、それは残った歯を健康で長持ちする状態をつくるために行われるもの。そして、矯正歯科治療で歯を動かした後は、「リテーナー」と呼ばれる保定装置を用いて、定期的に歯科医のもとでメンテナンスを受けることも大切です。


歯の表面に歯科用接着剤でブラケットという器具を貼り付け、その溝にアーチワイヤーを通して3次元的に歯を移動させるための装置。ブラケットには目立ちにくいセラミック(左)やプラスチックのほか、金属製(右)のものなどがあります。
●矯正歯科用アンカースクリューとは?
矯正歯科治療用に開発されたチタン合金製の小さなネジのこと。アンカースクリューを使った治療法とは、そのネジをあごの骨に埋め込み、歯を動かす際の固定源として用いる方法をいいます。矯正歯科治療用アンカースクリューは直径1.5 ミリ前後、長さは6 ~10ミリ程度。
写真提供:日本歯科矯正器材協議会
●歯の裏側につける装置とは?
一般的に、歯の表側につける矯正装置を歯の裏側につけることで、まわりの人に気づかれずに行えます。1970 年代、世界に先駆けて日本で実用化され、その後、世界中で用いられています。
写真提供:カボデンタルシステムズジャパン
●マウスピースのような装置を使う治療法とは?
マルチブラケットの代わりに、上下の歯に透明な薄いマウスピースのような装置をつけて歯並びを改善。歯の重なり具合があまり多くなく、歯を大きく動かす必要のない人などに用いられます。
写真提供:アソインターナショナル
80歳で20本以上、自分の歯がある高齢者のことを「8020達成者」と呼びます。この達成者の方々は咬み合わせや歯並びが整っている場合が多く、自立して生活できるなど、心身ともに健康でQOL(Quality of Life/生活の質)が高い傾向にあります。つまり、よく噛める自分の歯があることは、健康長寿の秘訣でもあるのです。このことから、矯正歯科治療は未来の健康をつくるための治療だといえます。
治療期間として数年間かかる、顎変形症などの場合を除いて健康保険が適用されないなど、矯正歯科治療にはデメリットもあるものの、整った歯並びによって笑顔に自信が持てたり、何でもしっかり噛んで食べられたりするなど、治療を受けるメリットはそれ以上に多いもの。咬み合わせが安定することで、身体のバランスがよくなったり、横顔が整ったりと、アンチエイジングの効果も期待できます。
人生には、仕事、留学、転勤、結婚、出産、育児といった、さまざまなライフイベントがあります。矯正歯科治療は、それらのライフイベントと両立できるため、始めたいと思ったときに矯正歯科医のもとを訪ね、相談してみるのがおすすめです。
ライフイベントを治療とともに過ごす、明るい笑顔の受賞作があります。

山崎梨津子さんの作品

宮崎先生の話からわかるのは、歯並びをきれいにすること=なりたい自分にすぐなれる、というわけではなく、その前に自分の歯並びや治療に関する正しい知識を持ち、この先の人生をより豊かにするための処置として、矯正歯科治療を据えることが大切だということです。そうすることではじめて、治療期間や費用の高さなどのデメリットを超えるメリットを実感できるのかもしれません。
★次のページでは、「なごやかにトークが弾んだパネルディスカッション」の様子をご紹介!
2015年3月29日
きれいな歯並びで幸せに生きる!大人の矯正歯科治療の魅力とは?
パネルディスカッションそれぞれの立場からなごやかなトークが花咲きました
ゲスト講演の後は、宮崎先生、富永先生に、白石真澄先生(関西大学 政策創造学部 教授)と コーディネーターの八木早希さん(フリーアナウンサー)を加えてのパネルディスカッションが行われました。
テーマは、「~あなたの疑問にお答えします~ 大人の歯の矯正を知る」。
ちなみに、白石先生も八木さんもかつて矯正歯科治療を受けたという経験の持ち主。
それぞれの立場からのトークは終始なごやかで、おおいに盛り上がりました。
ここではその様子をダイジェストでご紹介します。
大人がよく噛める状態を保つことは、高齢社会に備えるうえでも重要
八木:私は子どもの頃、上の前歯が2本、目立つような状態で、中学のときに矯正治療を受けました。実は、うちの母によると、私が矯正治療を受けることは生まれたときから決まっていたそうなんです。というのも、誕生したばかりの私を見て、母は「この子は顔で勝負できないから、将来、せめて歯だけでも治してあげないと」と思ったんだそうです(笑)。
おかげでアナウンサーになることができましたが、なってからまわりを見ると、ほとんどの人が矯正治療を受けていました。理由は、アナウンサーとして発音がキレイにできるように。聞いてみると、治療期間を見込んで、大学3年くらいに矯正装置がはずせるように治療を受けたケースが多いようですね。
白石:私は今から20年ほど前に、コンプレックスを感じていた下の歯並びを矯正治療で治しました。今も毎年、自分の誕生月には歯科医院に行って、歯のクリーニングを受けるようにしています。今や女性の一生は長いのと、よく噛める歯並びは健康の第一歩なので、大人になってからでも、自分の歯並びを整えることは、これからの高齢社会に備えるために大切だと思いますね。
八木:そうですね。私は矯正治療を終えた今も、週1回、下の歯列にリテーナーをつけて眠るようにしています。 ところで富永先生、矯正治療を受ける場合、健康な歯を抜歯することがあるんですよね? 抜歯の選択って少し勇気がいる気がしますが......。
富永:はい。確かに患者さんにとっては負担に感じる部分だと思いますが、咬み合わせが悪い場合、我々は慎重に判断して抜歯を選択することがあります。なぜなら、1本抜いたほうが残りの歯が長持ちする場合があるからです。例えば、きちんと咬み合っていない歯があると、その部分に食べカスなどが溜まりやすくなり、結果的にむし歯や歯周病になるリスクが高まります。その状態を放置して複数の歯にリスクが及んでしまうのを避けるためにも、抜歯をして、よく噛める安定した咬み合わせをつくったほうがよいことになります。 要は、歯を抜くデメリットより、よく磨ける口の中をつくるメリットのほうが高いと判断した場合には、抜歯をおすすめすることになるわけです。ちなみに、この抜歯によって、残った歯の寿命が縮まるということはありませんので、そこはご安心いただきたいと思います。
疾患として認められると、健康保険が適用になることも
八木:矯正治療に健康保険が適用される場合もあるそうですね?
宮崎:そうです。歯科疾患として認められると、健康保険の適用となります。成人ですと、例えば顎変形症の方が受ける外科矯正などが該当します。この場合、治療期間の真ん中あたりで10日ほど大学病院などの口腔外科に入院して外科手術を行いますが、保険が適用される医療機関で矯正治療を受けた場合は、矯正費用と外科手術・入院費用を合わせて50万前後の支払いで済む場合が多いといえます。
富永:健康保険の適用になるもっとも多い疾患が顎変形症ですが、ほかに唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)や生まれつき6本以上の歯がない患者さん、または約30種類の先天性疾患に起因する不正咬合が挙げられます。健康保険が適用されるのは、これらに該当する方が都道府県から認可を受けた医療機関で治療する場合となります。

●顎変形症
上あご、もしくは下あごが、上下・左右・前後に変形している状態。ものがしっかり噛めないだけでなく、発音が不明瞭、あごの関節に痛みがあるといった障害を伴ったり、あごの形がコンプレックスとなって積極的になれないなど、人知れず悩みを抱える場合も多くあります。
●都道府県から認可を受けた医療機関
先天疾患の矯正歯科治療に健康保険が適用される医療機関が「障害者自立支援医療機関」、顎変形症の矯正歯科治療に健康保険が適用される医療機関が「顎口腔機能診断適合医療機関」。
指定医療機関のリストは、日本矯正歯科学会のホームページ http://www.jos.gr.jp/facility/から確認できます。
聞けば聞くほど奥が深い矯正歯科治療。ここまで読んで、「自分の場合はどうなんだろう?」「もっと知りたい」と思った方は、専門のクリニックに相談してみてはいかがでしょう。矯正歯科専門クリニックの場合、初診・相談は予約制で、初診にかかる時間は30分から1時間程度。相談では遠慮せず、歯並びに関する悩みや疑問点などを先生に伝えることが大切です。
★次のページでは「矯正歯科治療に関する、よくあるQ&A」をご紹介!