2016年8月26日

日本臨床矯正歯科医会 平成28年度6月例会レポート

 公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会(富永雪穂会長)は、平成28年度6月例会を、去る6月8日(水)、9日(木)、ベルサール飯田橋ファースト(東京)にて開催いたしました。
 日本臨床矯正歯科医会(以下、本会と略す)では、矯正歯科を取り巻く環境が急速に変化している社会状況に対応し、国民が安心して矯正歯科医療を受けられるように、矯正歯科医療に関わる各種の情報発信を継続的に行うとともに、矯正歯科専門開業医療機関の質の向上と治療の安心・安全を目指しています。
 本例会でも総会、各委員会プログラムをはじめ、症例展示、会員発表、スタッフプログラムなどが行われました。

《日本矯正歯科学会からのお知らせ》
平成28年度6月例会レポート
「日本矯正歯科学会ホームページガイドラインと倫理規程の改訂について」
中村芳樹先生(公益社団法人日本矯正歯科学会倫理・裁定委員会委員長、鶴見大学歯科矯正学講座教授)

 近年歯科医院のホームページが増加し、不適切な用語、表現、記載がみられるものも散見され消費者庁へのクレームも増加しています。平成24年の厚生労働省ホームページガイドライン(HPG)の公表を受け、日本矯正歯科学会は厚生労働省と協議の上、一段高い水準での日本矯正歯科学会HPGを作成し会員に順守を求めています。このHPGに違反し倫理規定違反と判断された場合は、日本矯正歯科学会倫理審査・懲戒規則が適用されます。今回は日本矯正歯科学会HPGの内容について示され、注意喚起を促すご講演をいただきました。各会員が自院のホームページを改めて見直す良い機会となりました。

《広報委員会プログラム1》
「本会公式HPと会員診療所HPの相互リンクについて」
齋藤康雄会員 (広報委員会副委員長)

 平成27年10月の本会公式ホームページリニューアルに伴い、本会HPと会員診療所HPとの相互リンク申請時のチェックリストを改訂いたしました。この改訂の背景には、平成24年に厚生労働省より公示されたHPも対象となる医療広告ガイドラインがあり、さらに日本矯正歯科学会によるHPガイドラインが作成、倫理規定の改訂が行われたことがあげられます。
 公益法人である本会公式HPならびにリンクする会員診療所HPには高いコンプライアンスが要求されます。本会公式HPの質の向上のために相互リンク規定への協力要請とそのバックグランドについて説明がありました。

《広報委員会プログラム2》
「平成27年度の広報活動の総括ならびに公益法人としての広報活動の今後の展開について」
阿部純子会員 (広報委員会委員長)

 日本臨床矯正歯科医会の広報事業は国民意識調査、アドバイザリーボードを経て、イベント型の広報活動からマスコミ露出型の広報活動に切り替えました。さらに、啓発する内容を「矯正治療を始めましょう」から「矯正治療は専門性が高い」と一歩踏み込んだテーマを掲げて、活動しています。
 今回の委員会プログラムでは平成27年度に行なった広報事業についての報告と、広報事業・各種印刷物を診療所でうまく活用している会員事例の紹介がありました。
 矯正歯科治療そのものの認知度を高め、専門性の高さなど矯正歯科治療に関する正しい理解を深めるために、広報活動に対する会員の理解や協力が必要なこと、また今後の事業の方向性について示されました。

《社会医療委員会プログラム1》
「平成28年度診療報酬改定における改定項目の要点」
北村 裕会員 (社会医療委員会委員長)

 平成28年3月に厚生労働省より示された矯正歯科分野の改定項目の要点についての説明がありました。矯正歯科関連では従来の歯科矯正適応症が統合され、また適応症が新たに追加されました。フィックスドリテーナーの新設、保険材料料および歯科矯正の床装置修理料改定、ホッツ床等の口腔内装置調整指導料の新設等の説明がありました。

《社会医療委員会プログラム2》
「矯正歯科診療のステップ・ガイドライン(仮):矯正歯科医療施設の運営ガイドライン(仮)について」
池森由幸会員 (社会医療委員会委員)

 社会医療委員会では、前期から「矯正歯科医療施設の運営ガイドライン(仮)」の策定を検討しています。これは、最近厚労省の指導の下で各医学会が検討している、特定臨床分野の治療に関する「診療ガイドライン」とは全く性格も用途も異なる、医療施設管理運営用のガイドラインです。

 一般的にガイドラインが必要とされる主な理由は、以下の3つです。
1)最新の社会常識やエビデンスに基づいた質の高い対応の普及のため 
2)標準策定過程で議論を深める機会が得られる
3) 推奨される医療サービスの可視化と、コミュニケーション・ツールとしての役割

今回の「矯正歯科医療施設の運営ガイドライン」には、
特定臨床分野の治療に関する診療ガイドラインではなく医療施設管理運営するためのガイドラインであること。専門医院の運営について、開設管理責任者および当該診療所のスタッフ全員が配慮すべき、一般社会通念上、もしくは消費者視線に基づいた項目を具体的に明示します。このガイドライン策定により、年々増加している矯正歯科医療に関連する消費者問題に対応できるようにすることを目指します。 という3つのポイントがあります。
 日々臨床に向かい合っている臨床家の団体、「公益法人である医会」が「医療施設運営マネジメントのガイドライン(仮)」を策定して内外に示すべきであると説明がありました。

《医療管理委員会プログラム1》
「医院承継を実例から考える ―後継者探しは婚活と同じ?―」
平成28年度6月例会レポート平成28年度6月例会レポート
佐藤英彦会員、安永敦会員(九州支部)

 医院承継を経験された実例について講演いただきました。佐藤英彦会員からは、矯正歯科医院を、機長と副操縦士、クルー、そして、機長の引退にたとえてお話がありました。また婚活同様、診療所を承継する相手を見つけることが難しいため、そのような出会いの機会を積極的に作る必要性を主張されました。
 続いて、バトンを受け取った安永会員からは、佐藤先生との縁と、未来永劫つづく矯正歯科医院を目指していくとの、強い決意が話されました。

《医療管理委員会プログラム2》
「会員に死去に際し、廃院を前提とした支部協力の実例」
平成28年度6月例会レポート
佐藤國彦会員(千葉支部)

 平成27年に千葉支部で経験された、診療所の廃院について講演をいただきました。有事下での支部の動き、転医・精算についての対応、閉院についてなどの状況が報告されました。また、普段からの個人の備え、支部内での連携強化、家族会の必要性が報告されました。

平成28年度6月例会レポート

《学術委員会プログラム》
学術委員会プログラムでは第43回日本臨床矯正歯科医会長野大会でアンコール賞に選ばれた2症例について、各会員からの発表がありました。以下に発表の要旨を紹介します。

平成28年度6月例会レポート
「無歯顎者の顎変形症治療における矯正歯科の役割」
吉川仁育会員(近畿北陸支部)

 42歳3ヶ月男性 骨格性の反対咬合(ANB -7°)を伴う無歯顎の顎変形症患者に外科的矯正歯科治療を行うにあたり、矯正歯科医が補綴科・口腔外科と協力し、治療方針及び顎位などの決定に積極的に関与した。約3年の動的治療終了時には、良好な咬合(ANB 0°)及び顔貌の改善を獲得し、QOLの向上に寄与することができた。動的治療終了後、約7年5カ月経過した時点でも良好な状態が維持されている。

平成28年度6月例会レポート
「著しい開咬を伴う成人Ⅱ級Ⅰ類症例」
仁木俊雄会員(北関東支部)

 19歳3ヶ月女性で、著しい前歯部開咬を伴う上顎前突、high angle および口元の突出感を伴った症例の矯正治療を行うにあたり、まず治療に影響を及ぼす舌癖について理解してもらい、舌突出癖改善トレーニングを約半年行った。その後、上下顎第二小臼歯を抜去して動的治療を開始した。動的治療期間は約1年9カ月で、FMAは37°から35°へ減少し、術前のoverjet 10mm、overbite -10mmは上顎前歯が7mm後方移動、下顎前歯が5mm挺出した結果、良好なoverjet、overbiteを得ることができた。動的治療後約2年半経過した時点でも来院毎に確認、指導を行っている。

《ドクター&スタッフ合同プログラム1》
平成28年度6月例会レポート
「日常留意すべき炎症と力のコントロール」
内山茂先生(東京医科歯科大学臨床教授)

 バイオフィルムに関する基礎的な内容から、矯正歯科治療中に有効なPMTCの具体的な道具の紹介に至るまで、文献の紹介とともに、大変わかりやすくご講演いただきました。多くの症例写真や、歯肉縁上や歯肉縁下バイオフィルムを除去する具体的な手技の紹介は明日からの臨床に活用できる有意義な内容でした。

《ドクター&スタッフ合同プログラム2》
平成28年度6月例会レポート
「口呼吸が体に与える弊害について」
今井一彰先生(みらいクリニック)

 口呼吸が及ぼす全身への影響について、多くの治験例をみせていただき、そのメカニズムについてもわかりやすくご講演いただきました。病気にならない体を作るには健康な口と鼻をつくることであり、患者がよりよく生きていくためには歯科治療が非常に重要であること、健全な気道をつくるために健全な上顎の発育が大切であることを力強くお話いただき、矯正歯科治療が今後果たしてく役割の重要性を改めて認識させていたくことができました。

《スタッフプログラム》
平成28年度6月例会レポート
「クレーム対応の基本とチームで取り組むリスクマネージメント」
久保田薫 氏(ソニー生命保険会社ライフプランナー)

 講師が長年在籍した航空会社での経験から、医療現場で生かすことのできるクレーム対応の基本やクレームを起こさないための方法、さらにチームで取り組むリスクマネージメントについてご講演いただきました。患者が声にしてくれたことに感謝し、クレームに対して真摯に向き合う姿勢が大切であること、クレームが起こりにくい職場環境作りについて学ぶことができ、大変有益な講演でした。

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