2016年10月28日

「上顎前歯が突出した小児に対する早期治療(※)」に対する本会の見解

先般「上の前歯が出ている子どもは、永久歯が生えそろうまでは、矯正歯科治療を行わないことを強く推奨します」としたガイドラインが発表されました。すでに矯正歯科治療中、あるいはこれから治療を予定されているお子様のご家族の中には混乱や不安を感じる方々もおられるようです。しかしながら、実際に日本のみならず海外でも、上顎前歯が突出した小児に対する早期矯正治療は行われており、良好な結果を得ています。そのためには矯正歯科医が充分に精査診断し、早期治療の必要性と効果を適切に診断した上で長期的な治療計画のもとに治療を行うことが重要です。

前述のガイドラインは過去に発表された上顎前突の治療に関する科学論文の医学的データを基に作成されましたが、矯正歯科の分野はデータを得るための条件の統一等が難しく、現時点では十分な根拠(ランダム化比較試験に基づくエビデンス)がないことも明らかになっています。特に日本人の研究結果を掲載した科学論文は不足しており、この状況から得られたガイドラインは、わが国の矯正歯科治療の実態にはそぐわないと考えざるを得ません。
矯正歯科治療の開始時期は矯正歯科医が患者さん一人一人の症状や心理的側面、生活背景なども見極めて個別に判断する必要があります。そのため「この症状に対してはこの時期に治療を開始しなければならない」といったことはありません。多様な病態を持つ上顎前突をひとくくりに考えずに、矯正歯科医による十分な精査・診断により、その必要性、治療開始時期が選定されるべきです。従って専門教育研修を受け、豊かな経験を有する矯正歯科医が、適切な検査の後に早期治療の必要性があると診断し、十分な説明と患者と保護者の同意を得た上で行うのであれば、上顎前歯が突出した小児に対する早期矯正治療を行うことに問題はないと考えています。
一方、巷で行われている「早期治療」と称されるものには残念ながら十分な検査や矯正歯科医による診断、長期的な治療計画に基づかないものも見受けられます。現在受けられている治療の必要性と治療開始時期等に関して不安を感じている皆様には、本会会員をはじめとする矯正歯科専門開業医あるいは大学病院矯正歯科でのご相談をお勧めいたします。

※早期治療:乳歯の時期や乳歯と永久歯が混じり合う時期に、あごの成長を見ながら咬み合わせやあごの成長のコントロールなどを行う矯正歯科治療。

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