2018年1月22日

Vol.19 健康は「咬み合わせ」から ―安心の矯正歯科治療を知ろう―

健康は「咬み合わせ」から ―安心の矯正歯科治療を知ろう―

咬み合わせから食育や健康を考えよう

■噛むことは全身の健康に影響する

噛むことは全身の健康に影響する「咬み合わせと健康」についてのセミナーが開催されたのは、2017年11月16日木曜日。会場であるカンファレンスルームには、定員180名を上回る大勢の人が集まりました。

稲毛滋自先生本セミナーに協賛するのは、矯正歯科の専門開業医である、公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)。まずは、同会会長である稲毛滋自先生の講演です。

噛むことは全身の健康に影響する「咬み合わせから食育や健康を考える」と題して行われた講演の冒頭で、稲毛先生は近年、歯や口の状態が社会生活や全身の健康に影響することが次第にわかってきたと述べたうえで、「口の中の大切な役割」として次の5つを挙げました。

口の中の大切な役割●口の中の大切な役割
1. 食をつかさどる
2. 呼吸をつかさどる
3. コミュニケーションをつかさどる
4. 感覚(味覚・触覚・温度覚)をつかさどる
5. 感染を防ぎ健康を維持する

「このうち、感染を防いで健康を維持するという役割については、まだ意外に知られていませんが、これには"唾液"が大きな働きを担っているのです」と稲毛先生。

唾液には病原性のある細菌を殺菌する作用があり、発がん物質の働きを抑えるなどの有効成分が含まれています。そんな唾液の分泌を高めるには、よく噛むことが重要です。しかし、現代はやわらかい食べ物が多く、噛む回数が少なくなっているといわれています。実際、50年前の10代の平均顔と比べると、昨今の10代の平均顔は細長く変化しているのだとか。

「噛む回数が減ると、どうしてもあごの骨の幅が狭くなり、ほっそりとした顔立ちになります。一方、歯の幅(歯冠幅径/しかんふくけい)は大きくなっているため、デコボコした歯並びになりやすいのです。だからといって急に硬いものを食べても、長い歳月を経て細くなったあごがすぐに逞しくなるわけではありませんが、体の健康を保つためには、毎日の食事をゆっくりと、よく噛んで食べることが大切です」

よく噛むために必要なもの、それが"よい歯並びと、よい咬み合わせ"なのです。

■永久歯が生え揃うまでの咬み合わせを知ろう

永久歯が生え揃うまでの咬み合わせを知ろうでは、よい咬み合わせとはどういうものでしょうか?
稲毛先生は、ここでも5つのポイントを揚げて説明します。

●よい咬み合わせの見極めポイント
1. おおらかなU字型の歯並びであること
2. 上下の歯並びの中心線が一致していること(前歯だけでなく奥歯も一致していること)
3. 前歯でサンドイッチや麺類がすっと噛み切れること
4. 上の1本の歯が下の2本の歯の間に噛み込み、下の1本の歯が上の2本の歯の間に噛み込んでいること
5. サイコロ状の肉を、左右の奥歯でしっかりと噛めること

上下の歯並びが安定的に咬み合っているのが、よい歯並びの基本

「この5ポイントを満たした咬み合わせなら、どんな食べ物でもよく噛んで食べることができるでしょう」

では逆に、どういう咬み合わせならよくないのでしょうか――。
稲毛先生は、代表的な不正咬合(ふせいこうごう)には、前後的な問題と上下的な問題があると話します。

「前後的な問題がある例としては、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、叢生(デコボコ)が挙げられます。対して、上下的な問題としては、過蓋咬合(上の前歯が下の前歯に深くかぶさっている咬み合わせ)があります。これ以外に、開咬(かいこう/奥歯で噛みしめたとき、上下の前歯に隙間ができる咬み合わせ)や、交叉咬合(こうさこうごう/下の前歯が上の前歯より前に出たり、下の奥歯が上の奥歯より外側に出ている咬み合わせ)なども問題になります」

上左から、上顎前突、下顎前突、叢生

これらの不正咬合の中でも緊急性が高いのが、噛むことで口の中にキズができてしまう「外傷性咬合」といわれるもの。

外傷性咬合の一例「例えば、上の前歯のかぶさりが深い過蓋咬合でも、噛むことで下の歯肉を傷つけてしまう場合は外傷性咬合です。ほかに、上下の歯の先端が噛むたびに当たってしまう場合も歯の先端が割れたり、すり減ったり、歯肉が下がったりするので緊急性が高いといえます」

■家族の歯並びと咬み合わせをチェックしよう!

さて、あなたや、あなたのまわりにいる人の咬み合わせはいかがでしょうか? 鏡を見ながら、あるいは食事をする際に、次の設問に添ってチェックしてみましょう。

当てはまる項目が少ないほど、よい咬み合わせ、よい歯並びといえます。チェックがたくさんつく方は、矯正歯科を専門とする歯科医に相談してください。

家族の歯並びと咬み合わせをチェックしよう!

※永久歯の先天性欠如
乳歯の下に本来あるべき永久歯が生まれながらにない場合をいいます。
くわしくは「トレンドウォッチ」vol.11をご覧ください。

【まとめ】
口には「食」「呼吸」「コミュニケーション」「感覚」「健康」の5つの役割がある
●このうち、感染を防いで健康を維持するためには、よく噛むことが大切
●よい咬み合わせかは、自己診断できる

★次のページでは、子どもの矯正歯科治療について知っておきたいことをご紹介!

子ども時代の矯正歯科治療の正しい知識を知ろう

■あごは上と下とで成長速度(成長時期)が違う

茂木悦子先生続いて行われたのは、茂木悦子先生(東京歯科大学客員教授、白山きりん子ども矯正歯科 院長)の講演です。タイトルは、「子ども時代の矯正歯科治療について―役立つ基本的な知識―」。

茂木先生は「ハリスとスキャモンの臓器発育曲線」というグラフを示しながら、子どもから大人にかけてのあごの成長について説明しました。

何歳の段階で、それぞれの臓器がどういう発育状態にあるのかを示したグラフ。20歳になった段階の臓器の成長量を100%とし、各年代での成長の目安とするために歯学教育の場などで用いられる。

●リンパ系型......胸腺、リンパ線、扁桃が含まれ、ピークは12歳頃
●神経系型......脳、脳頭蓋骨、脊髄、視覚器(眼)が含まれ、ピークは8歳頃
●一般系型......骨格、筋肉、循環器、消化器、顎骨、顔面頭蓋、動脈、静脈、血液が含まれ、S字カーブを描くのが特徴
●生殖器系型......精巣、卵巣、性器が含まれ、4つの中で成長時期が最も遅い
ハリスとスキャモンの臓器発育曲線

「このグラフの横軸にある10歳のところを見てください。一番パーセンテージが高くなっているのがリンパ系型で、ついで神経系型、一般系型、生殖器系型となっていますよね。ここからわかるのは、子どもの各臓器・各器官の成長は決して一律ではなく、バラツキがあるということです」

茂木先生によると、頭蓋骨や上あごは神経系の仲間で、下あごは腕や足などと同じ一般系に分類されるのだとか。つまり、同じあごでも上と下ではグループが違うというわけです。

「10歳の時点で上あごが属する神経系の成長率は、ほぼ100%。つまり、ほとんど成長が完了しています。でも、下あごが属する一般系はまだ50%と成長の最中にあり、20歳近くまで成長を続けます。要は、同じあごでも上と下とでは、成長の時期が大きく違います。矯正歯科治療は、こうした成長時期の違いを治療に活かしているのです」

茂木悦子先生「例えば、下顎前突(受け口)は上あごの成長が抑えられていることが原因でもあります。ですから、上あごの成長期である10歳以前に、反対になった上下の咬み合わせを正常にしたうえで、上あごに成長のチャンスを与えてあげることが大切になります」

このように、矯正歯科治療を専門で行う歯科医は、上下のあごの成長時期の違いを頭に入れたうえで、不正咬合に対応しているというわけです。

■成長期から治療するメリット

では、10歳未満から矯正歯科治療を始める場合、どんなメリットがあるのでしょうか?
茂木先生は、2つの事例をもとに、成長期の矯正歯科治療のメリットを紹介します。

【Case1】3歳で治療を始めたAさん(女性)の場合
  • ●上あごの成長期である3歳から簡単な装置を装着し、比較的早く被蓋は改善し、5歳での咬み合わせの様子を示す。
  • ●その後は矯正装置をつけずに定期的な受診で、現在は歯の生え変わりや咬み合わせの観察を継続中。
【Case1】3歳で治療を始めたAさん(男性)の場合 POINT
★反対咬合は、日常生活の中で発見されやすい不正咬合のひとつ。気づいたときにすぐに矯正歯科に相談に行くのがおすすめ!

【Case2】9歳から治療を始めたBさん(女性)の場合
  • ●混合歯列期の9歳のときに反対咬合の治療を開始。
  • ●永久歯が生えそろった段階では咬み合わせが改善。20代になっても定期検診を続け、きれいな咬み合わせを保っている。
【Case2】9歳から治療を始めたBさん(女性)の場合 POINT
★咬み合わせの状態によっては、早期の治療によって、永久歯の抜歯を回避する可能性も生まれます!

2つの事例からわかるように、子ども時代から矯正歯科治療を始めるメリットとして、あごの成長発育を生かせることが挙げられます。
また、矯正歯科での検査によって永久歯の先天性欠如や過剰歯(※)、埋伏歯(※)といった問題にも早く気づくことができ、適切な処置がとれるのも大きな利点といえます。

※過剰歯(かじょうし)
通常の歯の本数よりも多く形成された歯のこと。口の中に生えてくる歯と、あごの骨の中に埋まっている歯とがある。

※埋伏歯(まいふくし)
あごの骨の中や歯肉に埋まったまま生えてこない歯のこと。放っておくと、その歯が本来生える場所の両隣の歯が倒れこみ、生えてくる場所がなくなったり、咬み合わせが悪くなったりする。

■歯の生え変わりが遅いのは気にするべき?

咬み合わせに問題があるかどうか気づくタイミングとして挙げられるのが、乳歯の歯並びや永久歯の歯並びが完成するときだと、茂木先生は話します。

茂木悦子先生「一般的には、生後6か月くらいに歯が生え始め、3歳くらいで乳歯列が完成します。その後、永久歯に生え変わり出して、12歳くらいに永久歯列が完成します。ただし、これはあくまで目安なので、同年の子どもより6か月から9か月くらい時期が遅くても、気にすることはありません」

気にしたほうがよいのは、左だけ犬歯が映えてきて右は生えてこないといった場合。

「だいたい歯は左右違わずに生えてきます。ですから、左右のどちらか一方だけかなり遅いというのは問題があります。おかしいと思ったら、その時点で矯正歯科を訪ねて必要な検査を受けていただきたいですね」

【まとめ】
  • ●子どもから大人への成長は臓器別に異なる
  • ●上あごは10歳くらいでほぼ成長が終わるといわれており、それまでに成長の機会を与えることが大切である
  • ●下あごは思春期あるいはそれ以降の20歳くらいまで成長することがあるので、上あご下あごの調和を成長完了まで観察することが大切
  • ●子ども時代からの矯正歯科治療は、あごの成長が利用でき、永久歯の異常にも早期に気づくことができる
  • ●歯は左右違わずに生えるため、片側しか生えない場合は検査が必要

★次のページでは、フリーアナウンサー高島彩さんを迎えて行われたパネルディスカッションの様子をご紹介!

パネルディスカッションレポート<子どもの治療編>

健康は咬み合わせから ―安心の矯正歯科治療とは?

■矯正歯科治療の経験がある
 高島彩さんを迎えて行われたパネルディスカッション

セミナーの後半は、榎戸教子さん(キャスター、常葉大学非常勤講師)をコーディネーターに迎え、「健康は咬み合わせから―安心の矯正歯科治療を知ろう―」と題したパネルディスカッションが行われました。

参加するのは、先に講演した稲毛滋自先生(矯正歯科医会 会長)、茂木悦子先生(東京歯科大学客員教授、白山きりん子ども矯正歯科 院長)、そしてゲストパネリストの高島彩さん(フリーアナウンサー)です。

高島彩さん榎戸教子さん

相談に行くタイミング
榎戸高島さんは小学生のときに矯正歯科治療をされたということですが、治療について、どんなイメージをもっていますか?

高島本当に受けてよかったと思っています。治療したおかげで、笑顔に自信が持てるのと、発音や発声についても、サ行やタ行は歯の位置で音が変わるので、ニュース原稿を読むときに役立っています。ただ、歯並びは親子で似る場合もあると聞くので、うちの3歳と1歳の娘も、咬み合わせについてそろそろ歯科医院に相談に行ったほうがいいのかなと気になっているんです。相談に行くとすれば、どのタイミングがいいんでしょうか?

パネルディスカッションレポート稲毛相談のタイミングは個々で異なるので一概にはいえませんが、お子さんの歯並びでもし気になるようなことがあるのなら、気軽に行ってみるとよいと思います。矯正歯科の専門医院なら、今すぐに治療が必要なのか、あとでよいのか、あるいは現状は必要ないのかなど、いろいろ教えてくれるはずですから。

医院選びのポイント
高島最初に相談に行くのは、やはり矯正歯科がいいんでしょうか?

稲毛そうですね。矯正歯科治療は非常に専門性の高い領域ですので、専門医院のほうが治療経験も豊富で安心できると思います。

茂木私もそう思います。ただ、何となく矯正歯科へ行きづらい場合は、かかりつけの歯科医院から紹介してもらうという方法もありますよ。あとは、自治体の乳幼児健診の機会を利用するのもいいと思います。

高島医院を決める際は、何を決め手にすればいいですか?

稲毛矯正歯科治療は治療期間以外に、経過観察の期間が長いので、先生とは長いつきあいになります。ですから、医院の評判や通いやすさだけでなく、先生との相性も大事になります。質問にわかりやすく答えてくれるかなども判断基準のひとつにするとよいのではないでしょうか。

治療を前向きに受けさせるために
高島子どもに矯正歯科治療を前向きに受けさせるには、どんなふうに説得したらいいのかも教えてください。

パネルディスカッションレポート稲毛それも、やはり矯正歯科にお子さんを連れてきてもらうことですね。その際、例えば我々が「小さいお肉をどこで噛み切る?」と聞くと、治療が必要なお子さんはたいてい奥歯を指さします。でも、本来食べ物を噛み切るのは前歯ですから「それは違うよ」という説明ができるんです。「奥歯を使って噛み切っていると、食べ方や飲み込み方に影響が出るし、治療すればもっとおいしく食べ物が食べられるよ」と、お子さんがイメージできるような説明をしていきます。

子どもの歯の手入れについて
高島先ほど申したように、うちの子は3歳と1歳ですが、普段の歯のお手入れについて気になっています。子どもに歯ブラシを持たせて磨かせた後、私が仕上げ磨きをしていますが、それだけで大丈夫でしょうか?

稲毛統計的には3~4歳は虫歯が増えてくる時期なので、その意味ではかかりつけの歯科医院をもち、そこでチェックしてもらうといいですね。自分と相性が合いそうな先生であれば、そこからまた、自分と相性が合いそうな矯正歯科を紹介してくれます。先ほど茂木先生がおっしゃったように、歯科医は皆ネットワークをもっていますから、それを利用するのがポイントです。

子どもの治療期間
榎戸ちなみに、子どもの治療はどんなふうに進むのでしょう?

茂木我々は永久歯の咬み合わせが完成する時期、一般的には12~15歳くらいを思春期性の成長完了も含め、子どもの矯正歯科治療のフィニッシュと考えています。ですから、矯正歯科に3歳で来たから8歳で来た子より早く治療が終わるというわけではありません。ただ、誤解がないように言っておきますと、永久歯が生え揃うまでずっと装置をつけているわけではなく、成長発育を見守るという経過観察の期間が長いんです。そのことも、治療の前にきちんとご説明して、ご理解いただいています。

【まとめ】
●歯並びについて気になることがあれば、その時点で矯正歯科へ
●子ども時代からの治療は装置をつけるが、経過観察の期間がある
●話のしやすい、自分と相性の合う矯正歯科医を選ぼう
●子どもの咬み合わせが気になる場合は、子どもを連れて矯正歯科へ

★次のページもパネルディスカッションを通して、子どもの歯のお手入れ法、咬み合わせと健康長寿の関係などをご紹介!

パネルディスカッション<大人の治療編>

「健康は咬み合わせから ―安心の矯正歯科治療を知ろう―」

ライフステージと矯正歯科治療
榎戸では、大人の場合にはどれくらいの治療期間が必要でしょうか?

茂木平均すると2~3年ですね。大人は体の成長が止まっているので、今の歯並びの中でどうするか、になります。あと、大人の治療で大切なのは、歯を動かした後の「保定(ほてい)」治療の期間です。これは動かした場所で歯を安定させるための大切なもので、大学病院では装置を外してから最低2年間は決まった頻度で通院して、治療後の経過を観察していきます。

高島矯正歯科治療って、何歳まで受けることができるんですか?

稲毛明確にはありません。年齢というより、歯ぐきや歯を支える骨の状態が歯を動かす要件にかなっているか否か重要です。インプラントが入っていても治療できますが、できればインプラントを入れる前に矯正歯科治療をしていただきたいですね。我々のところで咬み合わせの将来像を判断したうえで、インプラントを最適な位置に入れることで、よく噛める歯並びとなります。

高島では、ひとつの医院で完結するのではなく、いろんな先生の力を借りて治療するということでしょうか?

パネルディスカッションレポート稲毛そうです。特に女性は、出産や育児、介護などの負担がかかる場合がありますから、ライフステージの変化によっても治療は変わります。体調の変化なども配慮しながら、その方の生活ペースに合わせた治療を行っていくので、お一人お一人、内容も進み方も違うことになります。

高島私も出産を経験して、咬み合わせの大切さを感じました。産後は治療にも行きづらいと思うので、先生と私生活を共有しながら治療を進めていくというのは、ありがたいですね。

治療後の後戻り
榎戸これまで患者さんの最高齢は何歳でしょうか?

稲毛70歳代の方ですね。下の前歯が年齢とともに重なってきて、食事のときに食べ物が詰まって気になるからと半年間お悩みになった後に矯正歯科にいらして、治療されました。残念ながら、出てしまった歯は並びきらなかったので抜かせていただきましたが、その結果、きれいに歯が並びました。

高島歯は、治療後も少しは動くんですよね。特に私は治療後、保定期間が短かったせいか、じわじわと動いている気がします。ですから、今後もう一度治療しようかなどと考えているのですが、そういう方っているのでしょうか?

茂木はい、なかには再治療を受ける方もいらっしゃいます。歯は長いスパンで見ると、治療しようがしまいが動きます。もちろん、矯正歯科治療で並べた歯が元のようになるということはありませんが、よりよい位置で保つためにも保定期間は大切です。

咬み合わせと歯ぎしり、頭痛の関係
榎戸今日は健康と咬み合わせがテーマですが、高島さんご自身は日常で気になっていることはありますか?

高島実は、出産後、朝起きると首まわりが疲れていることが多いんです。きっと眠りながら歯を噛みしめているのかなと思うのですが、これも矯正歯科治療をすれば治りますか?

パネルディスカッションレポート稲毛確実に治るとはいえませんが、気になるなら矯正歯科に相談されるといいと思います。

高島あともうひとつ、矯正歯科治療をした後、頭痛が起きたりすることはないでしょうか?

稲毛私のところには、これまでそういう患者さんはいらっしゃらないですね。頭痛の原因は複雑で、一概に咬み合わせによるとはいえません。ですから頭痛をしっかり治すには専門外来で診てもらうのがおすすめです。

咬み合わせとPPK(ピンピンコロリ)
榎戸茂木先生は、8020達成者と歯並びの関係を調べておられますが、80歳で20本以上自分の歯がある方は、やはり咬み合わせがいいのでしょうか?

茂木はい。今400人近い達成者を調べていますが、皆さん、安定した咬み合わせをもっておられて、しかも元気です。そのことを、たくさんの方に知っていただきたいですね。最近は、さらに8020達成者の約10年後を調査しておりますが、皆さん、比較的介護期間が短いんです。なぜなら、最後まで自分で食べているから。私たちの最終的な目標は、PPKといっても過言ではありません。今の日本では平均寿命と健康寿命の差が、女性は約12年、男性約9年といわれています。この短縮に、矯正歯科治療が貢献できるのではないかと思っています。

今日からできる、きれいな歯を保つ秘訣
稲毛基本は毎日の歯磨きですね。ただ、歯ブラシだけではどんなに上手に磨いても歯間の汚れは50%程度しか取れないというデータがありますから、デンタルフロスを併用するのがおすすめです。糸ようじ(歯間ブラシ)もいいのですが、サイズに合わないものを使うと歯と歯肉を傷めてしまうので、注意が必要です。今日から実践するなら、まずはフロスですね。

茂木私も稲毛先生と同じですが、歯磨きの仕方を一度、歯科医院でチェックしてもらうというのもいいですよ。磨き残しって、自分ではなかなかわかりませんから。実際、私も衛生士さんにチェックしてもらったら、磨き残しがあったんです(笑)。やはり客観的な目は必要です。

榎戸高島さん、最後に今日の感想をお願いします。

高島目からうろこのお話がたくさん聞けました。私としては、今日のセミナー全体から、子どもの永久歯を健やかに保つためにも、乳歯のときからの意識が大事だと実感しました。私自身もその意識をもって、PPKを目指したいと思います(笑)。

【まとめ】
●矯正歯科治療に年齢の制限はない
●インプラントを埋める前に、矯正歯科治療を受けてほしい
●矯正歯科治療は、一人ひとりのライフステージに合わせて変えることができる
●大人の場合は、特に歯を動かした後の「保定治療」が重要
●矯正歯科治療と頭痛に明確な因果関係はない
●咬み合わせがよいと、自分の歯が長持ちしやすい
●毎日の歯磨きに、糸ようじ(デンタルフロス)を加えるのがおすすめ


いかがでしょうか? 矯正歯科治療は単に見た目を整えるだけではなく、全身の健康に影響する医療行為であることがご理解いただけたのではないでしょうか。
歯の形も、歯並びも、一人ひとり異なります。だからこそ、自分にとってのよい咬み合わせを知るためには、経験豊かな矯正歯科の専門医院を訪ねていただきたいと思います。
そのために、ぜひ、日本臨床矯正歯科医会のホームページをお役立てください。

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