2018年5月24日

vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合 インタビュー3

INTERVIEW-3
長年のコンプレックスだった歯並びを治して、これからも自分の歯で食事をしたい
長年、不正咬合に悩み、自分の歯を見せることに抵抗が大きかったというM.Iさん。
59歳で治療をスタートして以来、その思いはどのように変化してきたのでしょうか?

M.Iさん
What do you mean?

※顎間ゴム
 =主に上下の咬み合わせを改善するために使われる小さな輪ゴム。
顎間ゴム

■治療前のこと

――もともとの歯並びはどんな感じでしたか?
私の場合は反対咬合で、実は小学2~3年のときに矯正歯科治療を受けているんです。今から50年以上も前ですから、当時は矯正歯科というものがなく、普通に歯科医院での治療でした。その方法も今とは違って、奥歯にかぶせるような装置をつけて治療しましたね。その治療で反対咬合は一応治ったのですが、永久歯に生え変わったときにデコボコになってしまって。さらには、右側に歯が突出していって、あごが少しずつ曲がってしまったんです。変だなとは思いましたが、当時は八重歯が可愛いといわれる時代でしたし、若さもあったのでさほど気にはしませんでした。

年齢とともに歯列が崩れてきたというIさん。写真からも下あごが出ているのがわかる。

――咬み合わせが気になり始めたのはいつ頃ですか?
結婚して子どもが生まれてから、30代のころですね。というのも、次女が私と逆で上あごに比べて下あごが小さかったんです。自分のことがあったので、娘の歯並びが心配で。矯正歯科に連れていき、そこで自分のことも相談してみたところ、外科手術を併用した矯正歯科治療をすすめられたんです。でもそれをするには入院も必要だし、術後は流動食になるようなので、当時は子どもも小さかったので断念しました。なので、コンプレックスはずっと解消されませんでした。

――50代後半で治療に踏み切られたきっかけは?
年齢とともに、上の前歯のデコボコがひどくなってきたんです。それで、なんだか変わってきたなあと思って、かかりつけの一般歯科に「今から矯正歯科治療ってどうなんでしょう?」と聞いてみました。すると「まだ大丈夫ですよ。専門の先生に相談してみてください」と。それでホームページをみて、あごの専門医である矯正歯科を訪ねたんです。

――では治療先はご自分で探されたのですか?
そうです。決め手はあごの専門医だということでしたね。私としては、今度も外科手術を併用する矯正歯科治療をすすめられるんじゃないかなと思っていたんです。それで、もし今回もそういわれたら、やろうと思っていました。骨粗しょう症で薬を飲んでいるので、主人は体に影響があるのではと心配していましたけれど。でも、長らく自分の口もとがコンプレックスで、曲がったあごが気になって、しゃべるときも口に手を当てていたので、人生に後悔がないように今度こそ治したいと、自分としてはそう思っていたんです。

――治療前は、あごの痛みや食べにくさなどもあったのでしょうか?
いいえ、咬み合わせで食事に問題などはありませんでした。歯周病も特になく、歯や歯肉は健康でした。私自身、年齢を重ねて歯が汚いとよけいおばあちゃんになってしまうので、そうならないようにと、3か月に一度は一般歯科で歯のクリーニングをしてもらっていたのも大きいように思います。

デコボコはあるものの、丁寧にケアされた口の中。歯肉も健康だった。

――治療の前には、抜歯もされたのですね
はい、矯正装置をつける前に4本抜きました。抜くのはそれほど大変ではなかったですよ。抜歯の必要性も説明を受けて納得もできましたし。よくホームページを見ると歯を抜かない矯正などもあるようですが、かかりつけの一般歯科でも私の場合はそれでは無理だといわれたので、しかたないと思っています。4本抜いて、今は自分の歯は24本になりました。この残った歯を長持ちさせるために、矯正歯科治療は時間をかけてゆっくりと歯を動かしてもらっています。

■治療中のこと

――治療を始めていかがですか?
先生に「折り返し地点は過ぎましたか?」と伺ったら、「まだです」といわれました(笑)。歯に負担をかけないようにゆっくり動かしていますからね。歯が動く痛みは最初の1週間くらい感じましたし、今も夜中に目を覚ましたときなどに圧迫感を覚えたりしますが、子どもの頃の治療のほうが痛かった気がします。

――治療をしてどんなプラスの変化がありますか?
矯正装置がはずれたら実感すると思いますが、今はまだですね。でも、長年やりたいと思っていたことを実行できているという点では、気持ちがさっぱりした感じです。まだ治療中ですが、自分の中でのわだかまりがすっかり消えました。

――逆に、今気になっていることは?
しいていえば、下の歯にブラックトライアングル(歯間と歯肉の間にできる三角形の隙間)があることですね。歯肉が退縮するともとに戻らないので、それが老けて見えないかしらと気になります。先生からは歯間ブラシやフロスを無理にせず、一番細いものでするようにといわれているので、その通りにしていますが。あとは食事の後、歯の隙間や装置の間にものが詰まるので、歯みがきは欠かせません。

時間をかけてきれいに並んできた歯並び。

――歯みがきはどんなふうにされていますか?
細い歯間ブラシで歯の間の食べかすなどをとって、先の細い歯ブラシで奥歯や矯正装置の間を磨き、その後に2列歯ブラシで全体をざっと磨いてから普通の歯ブラシで磨きます。時間は1回につき15~20分かけていますね。

――治療が終わったら何がしたいですか?
大きな口を開けて笑いたいですね。やはり今までは口をふさいで笑っていましたから。今もまだあごは少し曲がっていますが、以前と比べるとずいぶん改善されました。それが何よりも嬉しくて、娘と一緒に写真を撮ったりして楽しんでいます(笑)。

あと、今87歳の母には、ぜひともきれいになった口もとを見てもらいたいですね。子どものころ、母のすすめで治療をして、うまく治らなかったことに母は責任を感じていますから。

――最後に、「歯の大切さ」についてひとことを
やはり歯並びは大切です。よく噛める自分の歯があれば、おいしくものが食べられます。家族みんなでおいしく食事ができるのは、本当に幸せなこと。口は体のエネルギー源を取り込むところですから、そこがダメになったら人生終わりです。治療後も歯のメンテナンスをきちんとして、今ある24本の歯を大切にしていきたいと思っています。

主治医 ■主治医からのことば
矯正歯科治療は歯肉の状態さえ問題なければ、いくつになっても治療はできます。Iさんの場合、むし歯もなく口の中の健康状態は良好だったので、すぐに治療に入れました。
ただし、ホルモンバランスの変化により、女性は50代から骨粗しょう症のリスクが高まります。Iさんもお薬を服用されているため、そのことに配慮して、慎重にゆっくりと歯を動かしています。一般的に、おとなのほうが子どもより矯正装置の異物感を覚えやすいのは、年齢とともに唾液の量が減ることも一因です。これは自然なことですから、治療前にそのことも伝え、異物感が気になる場合の対策もお伝えしています。
今や、人生90年時代。その意味では60代はまだまだこれから。長年のコンプレックスを改善することで、この先さらに楽しく心豊かに過ごしていただきたいと思っています。

vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合 インタビュー2

INTERVIEW-2
出産後に崩れた歯列を治すために治療を開始。どんどん変わる自分の歯に感動!
歯科医院で働く中で、咬み合わせの大切さを再認識したというM.Kさん。
"治療するなら専門の医院で"との思いでスタートした矯正歯科治療の現状とは?

M.Kさん
■治療前のこと

――治療のきっかけは何ですか?
小学生のころから下の前歯がガタガタして重なっていたのですが、矯正歯科治療を受けたいというほど気にはしていませんでした。特に思春期は矯正装置をつけるのに抵抗がありましたね。それが社会人になって、結婚前に一般歯科で受付の仕事をするようになってから、治療を意識するようになりました。加えて、結婚・出産後は、母が驚くくらい、歯のガタつきがひどくなってきたんです。それで私自身、よけい自分の歯並びが気になってきて。子どもも幼稚園の"年長さん"になって少し手が離れてきたので、今だったらできるかなと思って治療を始めました。

出産後に歯列が乱れ、矯正歯科治療を真剣に考えるようになったという。

――治療先はどうやって選んだのですか?
通いやすい場所にある矯正歯科の専門クリニックが希望でした。 というのも、私が働いていた一般歯科でも矯正歯科治療はしていましたが、複雑な症例の患者さんは、紹介状を書いて、矯正歯科専門のクリニックに治療をお願いしていたんです。そんな経験から、やっぱり治療をするなら矯正歯科を専門にしているところがいいんだなと思いました。

また、通院のしやすさには家からの距離だけではなく、予約のしやすさもあると思います。例えば、治療先を決める際にお電話をしたクリニックは、矯正歯科の先生が1か月に一度、通いで来るところで、先生の予定にこちらが合わせないといけないのが嫌でしたね。その点、今通っている矯正歯科は、専門医で、院長先生が最初から最後まで治療してくれるので安心してお任せしています。

――30代後半から矯正歯科治療をするにあたっての思いとは?
この年で治療することに対しては、身近なママ友とか友人とかに、「なんで今なの?」と聞かれました。審美が理由だと思われるようで「美意識が高いのね」なんていわれたり(笑)。私が「ガタガタの歯並びを治したいの」といっても、「そうだっけ?」って。人って自分が思っているほど気にしていないものですよね。でも、私自身は気になっているので、治したい気持ちに変わりはありませんでした。

他人は気にしていなくても自分は気になる。結果、その思いが治療の原動力となった。

――歯のガタつきによって、日常に不具合がありましたか?
直接関係しているかどうかはわかりませんが、首がすごく痛くなって、3日ほど動けなかったことがありました。自分ではそれを"ぎっくり首"と名付けたのですが(笑)。以前は肩こりや頭痛もひどかったですね。治療中の今は、昔ほどストレスがないこともあり、そういった不調はありません。

あとは、歯がガタガタだったので歯みがきがしづらくて、治療前から普通の歯みがきと先の細い歯みがきの2種類を使ってみがいていました。そんなふうだったので、矯正歯科治療が始まってからも歯みがきはさほど面倒じゃないですね。逆に、歯の重なりがなくなってきた分、以前よりも磨きやすいです。

――抜歯に対しては納得していましたか?
はい。必要ならしかたないなと思いました。抜く怖さはありましたけど。でも、先生の説明を聞いて、確かに私のあごの大きさに全部の歯をきれいに並べるのは不可能だと思えたので必要な処置だと思いました。私は2本ずつ抜いたのですが、辛くはなかったですよ。痛みも全然なかったし。それより、矯正装置が入るまで歯が抜けた後の隙間が見えるほうが恥ずかしかったです(笑)。

■治療中のこと

――矯正装置をつけて、いかがでしたか?
まわりからも特に何もいわれませんし、私自身、普段は治療しているのを忘れています。違和感がまったくないので。治療前はどれだけ痛いんだろう、食べられなくなって痩せるのでは、なんて思っていましたが、そんな心配は無用でした。たまに唇の裏側にブラケットが当たって少し痛みを感じることはありますが、その程度。痛みの感じ方って、人によるんでしょうね。

現在は犬歯を遠心移動させているところ。治療は順調に進んでいる。

――今後の治療計画はどのようなものですか?
先生からはマルチブラケットの装着は2年半から3年で、そのうち半年くらいは「Jフック」をつけるようです。矯正装置をはずした後のリテーナーは最低でも3年は必要だといわれています。なので、トータル5~6年ですね。今は月一度の通院ですが、実は楽しみなんです。ワイヤーを調整してもらって歯がぐっと締まる感じを味わうと、また歯が動くって思えますから(笑)。そのたびに歯がきれいに並ぶと思うとワクワクしますよ。

――お子さんの歯に対して思うことは?
娘はもうすぐ6歳ですが、絶対むし歯をつくらせたくないですね。なので家では仕上げ磨きを丁寧にしてあげて、一般歯科では生え変わりをチェックしてもらっています。幸い、レントゲンなどの検査も全然平気なので助かります。

――では、改めて歯並びに対して思うことを教えてください
歯はとても大切なもので、笑ったときに歯がガタガタだと、どんなに素敵な人でも一気に興ざめしてしまいます(笑)。女性は特に、いくつになってもずっとキレイでいたいという思いがあると思うので、口もとのコンプレックスがなくなれば、明るくなれると思います。私も治療が終わったら歯のホワイトニングをして、キレイになった歯並びをもっとキレイにしたいですね。母も主人も、顔のシミとりには反対しますが、歯のホワイトニングは賛成してくれるんです。きっと、治療してからの口もとの変化に感動しているんじゃないかな(笑)。

主治医 ■主治医からのことば
不正咬合と首や肩の凝りとの因果関係は証明が難しく、矯正歯科治療をして確実に治るとはいえません。Kさんにはそのことを最初にお伝えしたところ、よくご理解いただけました。今はまだ治療して1年で犬歯を移動させているところですが、順調に進んでいます。40代は口腔内の状態に個人差が開く年代で、歯が抜けた後をそのままにしておくと歯列が崩れて咬み合わせが悪くなったり、むし歯や歯周病になりやすかったりします。そんな年代に矯正歯科治療をすることは、口腔内の健康を見直すことにもつながります。その点で、この年代からの治療は意味があるのではないでしょうか。

★次のページでは、60代で治療中のM.Iさんにインタビュー!

vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合 インタビュー1

INTERVIEW-1
結婚した今だから治療ができた!かみ合わせを考えて、前歯でものを咬むのが楽しみ

学生のときよりも、独身の社会人のときよりも、
自分にとっては結婚した今が治療の好適だったと話すK.Mさん。
矯正歯科治療にかけるその思いとは?

K/Mさん
What do you mean?

※1マルチブラケット
 =ブラケットやアーチワイヤーなどからなる矯正装置のこと。
マルチブラケット


※2ヘッドギア
 =上あごの成長を抑えたり、骨格的な上顎前突(出っ歯)を改善したり、といった目的で使われる矯正装置。 ヘッドギア


※3Jフック
 =ヘッドギアにJ型の器具をつけたもの。力のかけ方などによって奥歯の動きを
  コントロールしたり、前歯の中心(正中線)を合わせたりできる。
Jフック


■治療前のこと

――治療のきっかけは何ですか?
10代のころから、奥歯がズキズキすることが多くて、歯科医院に相談したところ、「咬み合わせが深くて奥歯に噛む力が強くかかるのが原因」だといわれました。そのとき、はじめて自分が普通の咬み合わせではないことを知りました。
それと、やはり10代のころですが、「笑わないほうが可愛いよね」っていわれたことがあって。以来、笑顔にコンプレックスを感じるようになったことも、矯正歯科治療で治したいと思った理由のひとつです。

以前は上下の歯を咬み合せたとき、下の前歯がほとんど見えなかった。

――では、ずっと矯正歯科治療をしたいと?
はい。それで20歳のときには矯正歯科の無料カウンセリングを受けました。でも、当時はちょっと踏ん切りがつかなくて。その後、27歳で結婚して精神面でも生活面でも落ち着いたというのもあって、本格的に治療したいと思うようになりました。

――クリニックはどうやって選びましたか?
通いやすい場所にある矯正歯科の専門医がいいと思って、インターネットで候補を絞っていきました。クリニックのホームページもちゃんと見ましたよ。そのうえで、先生の考え方や特徴から咬み合わせの大切さについて書かれていた1軒を選びました。それが今通っている矯正歯科です。初診相談に行ったとき、先生がこちらの質問にきちんと答えてくれるのが好印象で、ここなら間違いない! と思えました。実際、治療をして2年経つ今も不満はありません。

――治療するにあたって周囲の方の反応は?
自分としては咬み合わせにコンプレックスがありましたけど、歯が目立ってガタガタしているわけではなかったので、パッと見ると歯並びが悪いようには思われないんです。なので親からも、親しい友達からも、「する必要ないんじゃない?」なんていわれました。それも、踏ん切りがつきにくかった一因です。ただ、夫は私がずっと悩んでいたのを知っているので、治療については前向きに応援してくれています。

歯列がきれいなアーチ型ではなく、前歯の部分が扁平になっているのが嫌だったというKさん。

――治療前に不安だったことは何ですか?
矯正歯科の初診を受けるまでは、矯正歯科治療というのが未知の世界だったので、自分の口もとがどんなふうに変わるのかが不安でした。あとは、矯正装置(ブレース)が目立つんじゃないかとか、健康な歯を抜かなきゃいけないんじゃないかとか......、不安はいろいろありましたよ。

――それらを解消したうえで治療を?
はい。治療の流れや抜歯の必要性については、先生からのご説明で理解できました。でも、4本抜歯をした後、私の場合は頬がこけた気がして辛かったですね。でも、抜いた歯の隙間が閉じれば、また見た目も変わると思うので、今はそれを楽しみにしています。

■治療中のこと

――治療に入ってからはいかがでしたか?
今はまったく平気ですが、最初のころは歯が動く痛みを結構感じました。毎月の通院でワイヤーを調整した後の痛みも強くて、通院が憂鬱でしたね。でも、行かないと治療が進まないし、やるしかないと。一方、目立つんじゃないかと気になっていた装置はつけてみると意外に目立たず、それほど気にすることもなかったな、という感じです。

――治療法としてヘッドギアを選択されたのですよね?
はい。先生からアンカースクリューを歯肉に埋め込む方法と、ヘッドギアを使う方法の2つを提案されて、私が選んだのがヘッドギアです。なぜかというと、埋め込んでも取れることがあるとか、痛みが強いとか、ネットでいろいろ書かれていたのを見たのもあって、口腔外科で歯肉にスクリューを埋め込むというのが、すごく怖かったから。
アンカースクリューでも、今となってはスクリューのほうが早く進んでよかったかな、なんて思ったりもしますけど(笑)。

一方、ヘッドギアは自分でつけ外しをしなければならないのが面倒ですが、ちゃんとつけないと歯が動かないので、寝る時間を中心に、1日10時間以上はつけていました。今はもうヘッドギアが終わって「Jフック」という装置に変わっています。今でも、つけると違和感はありますけど、それで眠れないというほどではないし、もう慣れました。

現在は前歯を後ろに牽引しているところ。上の2番目の歯についているループにJフックをひっかける。

――20代ではじめる矯正歯科治療をどう思いますか?
この年代って変化が大きいですよね。私自身、治療中に妊娠、出産を経験しましたし。ただ、治療前からそれは視野に入れていたので、初診相談のときに先生に「治療の中で、どのあたりなら妊娠しても平気なのか」を聞いておきました。そしたら、抜歯の際は麻酔を使うから、避けるに越したことはないけど、それ以外は特に問題ないとのことだったので、抜歯後に妊活を始めたんです。結果、出産・育児と治療を両立できています。

でも、これは個人的な感想ですが、できるなら妊娠と治療は重ならないほうがいいかな。私は妊娠9か月くらいまで通院していたので体が辛かったのと、治療中の歯みがきは時間をかけてするので、つわりのひどいときはきついものがありましたから。もちろん、治療をしたことに後悔はしていませんけどね。

――治療後のプラスの変化はありますか?
まずいえるのが、歯への意識が高くなったことです。以前は、見た目ばかり気にしていたのですが、今はプラークとか肉眼で見えないものについても気を配ってお手入れするようになりました。それと、子どもが生まれて自分が母親になったことで、子どもの歯を大切にしたいという意識が芽生えました。今もちゃんと歯が生えるかを気にしながら、歯が生えたら歯みがきをきちんとしてあげようと思っています。

そして、いちばん大きな変化が、口もとを気にせず、笑えるようになったこと! まだ抜歯の隙間は埋まっていませんが、自分の中では"変わった"という思いがあって、装置をつけていても歯を見せて笑えます。これが最大のプラスの変化です。

――治療後にしてみたいことは?
前歯でものを噛み切りたいですね。私、これまで一度もその経験がないんです。今も食べる時は奥歯しか使っていないので、ぜひ麺類やお肉を前歯で噛んでみたいです。

主治医 ■主治医からのことば
患者さんとの二人三脚で進むのが矯正歯科治療

治療前にあたっては、いくつかの治療方法をご提案し、Mさんご自身に選んでいただきました。抜歯でも上の歯を2本だけ抜く方法と、上下の歯を計4本抜く方法。2本の場合は前歯のかぶさりすぎは改善できても、奥歯の状態はそのままです。一方、4本抜く場合は全歯の咬み合わせの改善が図れます。ご説明のうえでMさんが選んだのが後者でした。また、アンカースクリューにするかヘッドギアにするかも同様に、メリット・デメリットを提示し、二人三脚で治療を進めています。
治療中の妊娠・出産の際にはペースダウンすることも可能なので、生活の変化がある場合は、Мさんのように早めに主治医に相談していただくのがスムーズな治療の秘訣だと思います。

★次のページでは、40代で治療中のM.Kさんにインタビュー!

vol.21 おとなの矯正歯科治療、わたしの場合

おとなの矯正歯科治療、わたしの場合

年齢を問わずにできる歯並び・咬み合わせの改善


■第一印象を左右する口もと

誰もが年齢を重ねても美しく、健やかでありたいと願うもの。では、心身ともに健やかでいるために大切なことは何でしょう? 運動習慣を取り入れる、食事に配慮する、よく眠る......どれも大切なことですね。さらに見た目を磨くために、エステに通ったり、スキンケアを熱心に行ったり、という方も少なくないのではないでしょうか。

実は、これらに加えて重要なのが、"口もと"。具体的には、よく噛める整った歯並びです。この調査結果をご覧ください。

調査:歯並びで第一印象が左右されると思う

「歯並びで第一印象が左右されると思うか」との問いに、「思う」と答えた人は20.4%。これに「やや思う」と回答した52.2%を合わせると、72.6%もの人が第一印象における歯並びの大切さを感じていることがわかります。

また、別の調査では、「人の顔を見るとき、目もとに次いで口もとに目が行く」という結果も出ています(2009年 日本臨床矯正歯科医会調べ)。笑ったり、話したり、食事をしたりと、口は社会生活の窓といえる部分。と同時に、目と同じく感情をあらわす部分でもあります。それだけに、笑ったときに口もとからのぞく、すっきりと整った健康的な歯並びは、メイクよりもファッションよりも、その人を若々しく美しく見せてくれるのです。

■歯並びに自信が持てない日本人

そんな第一印象を左右する歯並びですが、残念ながら日本では46.2%の人が自分の歯並びに自信が持てず、25.9%の人が歯を見せて笑うことに抵抗を感じることがわかっています。

調査:歯並びに自信がある・歯を見せて笑うことに抵抗を感じる

こうした中、注目されているのが矯正歯科治療です。
矯正歯科治療は、かつては子どもがするものと考えられていましたが、今では歯肉や歯槽骨(しそうこつ:歯を支える骨)などに問題がなければ50代でも60代でも、年齢を問わずに受けられることがわかっています。

実際、18歳以上のおとなの患者さんの割合は、近年増加傾向にあります。矯正歯科治療を行う専門開業医の団体である日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)の神奈川支部の調査によると、1988年には15%だった割合が、1998年には25%、2003年には32%に達しているという結果が出ています。

その背景には、エイジングケア意識の高まりだけでなく、矯正歯科治療が年齢不問の治療であることが広まってきたこと、目立たない矯正装置が普及してきたこと、そして世の中の人の健康意識が高まり、歯並びや咬み合わせの大切さに目を向ける人が増えてきたことなどが挙げられるでしょう。

■短期集中的に進む、おとなの矯正歯科治療

では、おとなの矯正歯科治療は子どもの場合と、何が、どのように違うのでしょうか? 力を加えれば歯が動くのは、おとなも子どもも同じ。ただし、おとなの場合は歯槽骨や歯同組織の代謝活性が下がっているため、育ちざかりの中高生のようには動きません。また、歯や歯周組織に何らかの問題があることも少なくないため、その場合はまずそちらの治療を優先し、矯正歯科治療に入る際は通常よりも弱い力で歯を動かしていくことに。そのため、歯を動かす期間は子どもよりも長くなる傾向があるとされています。

さらに、おとなはあごの大きさが完成しているため、例えばあごの大きさに対して歯が並びきらずにデコボコしている場合などは、歯を抜き、抜いたスペースを利用して歯列をきれいに並び替えることになります。

こう書くと、おとなの治療は厄介! と思うかもしれませんが、メリットもあるのです。それは子どものように治療期間が2期に分かれないため、短期集中的に治療が進むということ。また、おとなになってから治療を始める方は矯正歯科治療へのモチベーションが高いため、結果的に治療がスムーズに進みやすいのも、大きなポイントです。

〈おとなの矯正歯科治療は、子どもの場合とこう違う〉
● 歯槽骨や歯肉の造り替わりが遅いため、歯の移動に時間がかかる。
  そのため、同じことをする場合、治療期間は子どもよりも長くなりがち。
● あごの骨が成長期にある子どもに対し、おとなはあごの骨の成長が止まっているため、
  歯を歯槽骨の中で動かせる範囲での治療となる。
  そのため、あごの位置が大きくずれている場合は、外科処置を併用した治療となる。
● 全体的な治療だけではなく、部分的な治療を行うこともある。
● 矯正装置への違和感、調整直後の痛みは、子どもに比べて強い場合が多い。
● 治療の動機がハッキリしていることが多いため、治療に対するモチベーションが高い。

以上の基礎知識をもって、さっそく今回の本題へと入りましょう。
次のページからは、年代の異なる3名の患者さんへのインタビューを通して、おとなになってから治療を始める意味と意義を探ります。

これを読んでいるあなたの参考になることが、きっとあるはず!

★次のページでは、20代で治療をスタートしたM.Kさんにインタビュー!

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