第46回 日本臨床矯正歯科医会大会・神奈川大会のご案内(第1報)

第46回 日本臨床矯正歯科医会大会・神奈川大会のご案内(第1報)

公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会(会長:稲毛滋自)は第46回大会・神奈川大会を、平成31年2月20日(水)・21日(木)の両日、横浜市のローズホテル横浜およびホテルモントレ横浜にて開催致します。今大会のテーマは「Science and Art一機能と形態の調和を求めて一」です。テーマに基づいた臨床セミナー、スタッフセミナー、アンコール賞発表、ブレーススマイルコンテスト表彰式など、多数のプログラムを準備しております。また、エクスカーションは大会前日の2月19日(火)に予定していますので、ご家族、スタッフの方も合わせて是非神奈川大会にご参加の程よろしくお願いいたします。 

横浜のイメージ◆開催日時:平成31年2月20日(水)・21日(木)
◆メイン会場:ローズホテル横浜
〒231-0023 横浜市中区山下町77
TEL 045-681-3311
http://www.rosehotelyokohama.com/

◆スタッフ会場・懇親会会場:ホテルモントレ横浜
〒231-0023 横浜市中区山下町6-1
TEL045-330-7111
https://www.hotelmonterey.co.jp/yokohama/

【主なプログラム】(予定)
 ●臨床セミナー1  2月21日(木)
清水典佳 先生 (日本大学歯学部歯科矯正学講座 特任教授)

 ●臨床セミナー2  2月21日(木) 
黄川田 徹 先生(医療法人社団 アドベント 理事長「鼻のクリニック東京」耳鼻咽喉科医)
山﨑要一 先生 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野教授)

 ●海外招待講演   2月20日(水)

 ●会員アンコール賞発表  2月21日(木)

 ●スタッフセミナー  2月20日(水)

① スタッフプログラム1 井上美津子 先生(昭和大学歯学部小児成育歯科学講座客員教授)
「乳幼児の口腔機能の発達支援」

② スタッフプログラム2 RTD(モデレーター募集中)
 ○ブレーススマイルコンテスト表彰式  2月20日(水)
 ○懇親会  2月20日(水) 夜
 ○総会、会員協議会  2月20日(水) 午前
 ○症例展示、学術展示(演題募集を開始しました。多数のご応募をお待ちしております)
 ○日矯認定医更新用症例報告
 ○商社展示
 ○企業プレゼンテーション ドクター20日(水)・21日(木)、スタッフ20日(水)
[参加申し込みの方にはお弁当が準備されます]
 ○エクスカーション 2月19日(火)

第46回日本臨床矯正歯科医会大会・神奈川大会実行委員会
  大会長:島田 正 実行委員長:石渡靖夫 事務局長:齋藤康雄 会計:渡辺 亨 
  神奈川支部会員一同

第45回 日本臨床矯正歯科医会大会 岡山大会レポート

「温故創新 -- 矯正歯科臨床の未来を拓く-- 」をテーマに

平成30年2月21・22日(水・木) にホテルグランヴィア岡山において第45回日本臨床矯正歯科医会大会・岡山大会が開催されました。大会テーマ「 温故創新 -- 矯正歯科臨床の未来を拓く--」 のもと、講演、学術展示、症例展示などには多数の会員、ならびに会員外の先生にご参加いただきました。また、スタッフプログラムは大盛況をいただき、盛会裏に終了することができました。
大会参加者は、会員215名、スタッフ174名、会員外43名の計432名でした。また、懇親会参加者は206名で、ご招待者を含めると220名以上の方々に岡山の地元の料理、B級グルメ、地酒、ワインなどを楽しんでいただきました。
日本歯科矯正器材協議会のお力添えにより、商社展示は36社(41コマ)、昼食時の企業プレゼンテーションはドクター向けに1日目 7社、2日目 7社、スタッフ向けに 2社に協賛していただくとともにお弁当を提供していただき、参加されたみなさんは熱心に企業プレゼンテーションに聞き入っておりました。

稲毛滋自会長挨拶

大会前日の20日に開催されたエクスカーションの後楽園の見学に48名の先生やスタッフが参加いただき、22日に開催されたスタッフ向け倉敷美観地区観光に26名のご参加をいただき、岡山県の誇る2大観光地を楽しんでいただきました。
また、大会に先駆けて2月18日(日)に開催されました岡山大会併催「市民セミナー in 倉敷」では、「歯並びと健康 -- 子どもたちの未来のために--」をテーマに岡山大学大学院歯科矯正学教授の上岡寛先生と広報理事の大迫淳会員にご講演いただき、34名の市民の参加を得ました。
以下に主な内容を掲載させていただきます。






【臨床セミナー】

「骨格性上顎前突の早期治療について考える その2」を昨年の千葉大会に続いて企画致しました。骨格性上顎前突の早期治療において、上顎骨の成長抑制と下顎骨の成長促進は矯正歯科臨床において有効な治療手段として認知されていますが、その一方で「 早期治療は臨床的に有効ではない」とするガイドラインも発表されています。「上顎前突の最適な治療開始時期はいつか?」という問いは、現在に至っても未だ多くの議論があるのも事実なのです。当会では、2年前に会員に「上顎前突の早期治療について治療開始時期などに関するアンケート」を行いました、結果は約90%の会員が早期治療を行うとの回答をいただいています。
今回は、野村聡会員には「 矯正歯科領域における診療ガイドラインについて考える」と題し、患者さんに矯正歯科治療に対する時期・方法などを適切に説明が出来、同時にその妥当性を正しく判断する能力が求められる、との講演をいただきました。

臨床セミナー左:野村聡会員(中四国支部)右:高橋滋樹会員(学術委員会)

高橋滋樹会員には「 下顎遠心咬合の早期治療法に関する比較検討」 と題し、ANB 5°以上の骨格性上顎前突者 33名で、上顎骨の成長抑制を目的とした装置(headgear)を用いた症例 16名と下顎骨の前方成長の促進・誘導を目的とした装置(functional appliance)を用いた症例 17名を対象として治療前後のセファロ分析を行って比較検討した結果を報告していただきました。
講演終了後、会場からは大御所の先生から若い先生まで多くの質問の手が挙がり、この問題に対して先生方の関心の高さがわかり、かつ多彩で色々な考え方もあることがわかりました。是非、今後もこのテーマで、その3・その4と続くことを期待致します。




【会員アンコール発表】

鎌田秀樹会員(神奈川支部)
神奈川支部アンケート調査を元に、上顎犬歯による前歯歯根吸収の回避方法について検討した報告でした。

会員アンコール発表-1鎌田秀樹会員(神奈川支部)
〔目的〕
上顎犬歯による歯根吸収を予期させる状態を認めた場合の回避方法について、アンケート調査を行い検討した。
〔資料と方法〕
資料は ① Dental age ⅢB 期以前のもの、② X線所見で前歯の歯根吸収が予見されるもの、③ 口腔内所見で犬歯部頰・舌側に膨隆を認めないもの、④ 症候性の疾患を伴わないものをすべて満たす症例とし、どのような処置を行ったかを調査した。
〔結果と考察〕
主な処置方法は上顎乳犬歯抜去、上顎乳犬歯および第一乳臼歯抜去、永久歯抜去、開窓・牽引、上顎歯列の側方拡大であった。また複数の処置方法を用いた術者が多かった。治療方針の選択は、病態や症状、治療の緊急性、患者の希望、治療コンセプトなどの要因から総合的に判断し決定したと考えられた。
募集した治療例より、適切な診断や処置を施すことは、上顎犬歯による歯根吸収を回避するだけでなく、歯根吸収を生じた場合でも状況を改善し、歯を保存できる可能性が高まることがわかった。したがって、このような症例に対して矯正歯科治療を行う意義は大きいと考えられた。
〔結論〕
上顎犬歯による前歯歯根吸収を回避するため、矯正歯科専門医は状況に応じてさまざまな方法を選択した。そして、適切な診断や処置を施すためには、高い知識や技術および経験が必要だとわかった。

会員アンコール発表-2左:速水勇人会員(近畿北陸支部)右:山片重徳会員(近畿北陸支部)

速水勇人会員(近畿北陸支部)
外科的矯正治療の適応と思われる開咬を伴う骨格性下顎前突症例に対し、矯正歯科治療単独にて治療し、咬合の安定を得られた成人症例の報告でした。

〔症例〕
23歳4か月の女性で、歯並びがガタガタなのが気になるとの主訴にて来院。上下顎前歯部に重度の叢生を認め、上顎歯列弓の狭窄により第一大臼歯部では交叉咬合を呈し、切歯部から小臼歯部にかけては開咬を認めた。また、大臼歯関係は左右側ともにⅢ級を呈していた。上下顎骨の前後的関係は骨格性Ⅲ級であり、側貌はconcave typeであった。
〔治療経過〕
上顎については歯列弓の拡大、およびストリッピングを併用し、下顎については左右側第一大臼歯の抜去を行い、叢生および大臼歯咬合関係の改善を行った。
〔結果〕
治療開始28か月後、適切な被蓋関係と咬合関係が確立された。保定開始後2年1か月が経過し、わずかな後戻りを認めるものの、安定した咬合を維持している。
〔考察〕
本症例では、患者の強い希望を考慮し矯正歯科治療単独での治療を選択し、結果として患者の満足を得ることができた。診断の際に、医療従事者と患者の希望が必ずしも一致しない場合がある。診断に際して事前の十分な話し合いをもつこと、そして自己の治療技術の研鑽に努めることはもちろんであるが、長期安定の確立のためには、長期間に及ぶ経過観察と対応をしていくことが重要であると改めて考えさせられた。

山片重徳会員(近畿北陸支部)
下顎左右側第一小臼歯抜去にて治療を行われた後の骨格性下顎前突症例に対し、外科的処置を行わずに再治療を行った症例の報告でした。

〔症例〕
初診時年齢23歳3か月の女性で、矯正歯科治療の後戻り(受け口、下の前歯のガタガタ、上下の歯の正中のずれ)を主訴に来院。側貌はconcave type を呈し、下顎が右側に偏位。下顎左右側第一小臼歯抜去にて治療済みであったが、臼歯関係はClassⅢ 咬合よりもさらに右側3.0 mm、左側7.0 mm 下顎臼歯が近心に位置し、前歯部の反対咬合で、ANB -2.3°の骨格性下顎前突であった。
〔治療経過〕
上顎よりブラケットを装着し、レベリング開始。
...抜去後、下顎臼後結節部に歯科矯正用アンカースクリューを植立。下顎のレベリング後、スクリューから下顎歯列の牽引を行った。顎間ゴムにてdetailing を行った。
〔結果と考察〕
反対咬合、叢生も改善され、臼歯関係もClassⅢ 咬合が獲得できた。下顎骨の右方偏位は残ったが、上下の正中は一致した。パノラマX線写真より歯根の平行性も確認でき、安定した咬合が得られた。また審美的にもSmile 時の切歯露出量が改善した。
外科的処置を行わない下顎前突の治療では、顎間ゴムの使用が必須になる。しかし、長期のⅢ級ゴムの使用は下顎前歯の挺出を起こし、incisal showing の悪化を起こす。歯科矯正用アンカースクリューを使用することは治療期間の短縮だけではなく、審美的な有用性が認められた。また本症例においては、リンガルブラケットを使用したために、下顎歯列の移動の際に効率的なフォースベクトルを得られた。



【第13回「 ブレース スマイル コンテスト」 表彰式】

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会と日本歯科矯正器材協議会が共同開催する、矯正歯科治療中の方を対象にした笑顔のフォトコンテスト、「ブレーススマイル コンテスト」。その表彰式が、去る2月21日(水)、本大会が開催されたホテルグランヴィア岡山にて開催されました。
2005年からスタートした同コンテストは、今回で13回目となりました。今回の第13回「 ブレース スマイル コンテスト」 は『 もっと!輝く笑顔へ!』 をテーマとし、矯正歯科治療中の笑顔の写真を募集しました。全国の6歳〜65歳までの幅広い年齢層から、470作品もの応募をいただきました。応募総数は過去最高数となりました。
2017年9月14日に実施された一次審査で入選作品を選出し、さらに、10月19〜20日に北海道札幌市で開催された第76回日本矯正歯科学会大会期間中に大会参加者の投票によって行われました二次審査により、最優秀賞、優秀賞、大会賞を決定しました。
今回、多数の応募作品の中から栄えある最優秀賞に輝いたのは、香川県在住の坂本珠里さんの『踊る!よさこいスマイル♬ 』でした。優秀賞 2作品には小川友子さん(大阪府在住)の『 家族三人ただいま矯正歯科治療中』 と、渡辺雄児さん(埼玉県在住)の 『キラキラ笑顔キラキラ坊主』 が輝きました。岡山大会の開催地にちなんで設定された岡山大会賞は行廣実弥乃さん(広島県在住)の作品『 ごはん美味しい!』 が選出されました。
それぞれステージの中央で、賞状と記念品を受け取り、主治医より「 おめでとうございます」の言葉とともに両手いっぱいの花束が贈呈されると、受賞者の方々からは満面の笑みがこぼれていました。

第13回 「ブレース スマイル コンテスト」 表彰式の様子
『踊る!よさこいスマイル♬
』『家族三人ただいま矯正歯科治療中』『キラキラ笑顔キラキラ坊主』
『ごはん美味しい!』


【臨床セミナー】

私の矯正歯科臨床を振り返って
浅井保彦 会員(東海支部)、花岡 宏会員(中四国支部)
本大会のテーマである『温故創新』にちなんで、臨床経験が豊富で会長経験者でもある浅井保彦先生と花岡宏先生を演者とし、ご自身の臨床の軌跡を振り返って、治療目標の設定で重視すること、代表的な治療例、二段階での治療についての考え方、若手の先生方に専門医として伝えたいことなどについてご講演していただきました。
花岡先生はご自身の略歴を簡単に触れられた後、約50年の臨床経験を前半の30年、後半の20年に分けられて多くの症例を提示されながらお話をされました。前半はマルチブラケット装置の導入期から、オルソペディックな効果を期待する治療法について、その歴史や考え方、代表的な文献についても説明されました。後半は外科的矯正治療、唇顎口蓋裂の自家骨移植術、自家歯牙移植について多くの症例を交えて説明されました。
お二人の先生の熱い想いのこもったご講演に多くの先生が最後まで耳を傾けておられました。

臨床セミナー左:浅井保彦 会員(東海支部)右:花岡 宏会員(中四国支部)


【招待講演】

本大会では海外からの招待講演として、Taiwan Orthodontic Society(TOS)のCheng-Ting Ho先生、Korean Society of Orthodontists(KSO)のChong OokPark先生にご講演いただきました。

海外招待者講演1 Dr. Cheng-Ring Ho

海外招待者講演1
「Treatment of horizontally impacted mandibularsecond molars」
Dr. Cheng-Ring Ho(Assistant professor, Chang-Gung University)下顎第二大臼歯の埋伏に対する対応について、お話しいただきました。
講演では治療法として、アンカースクリューを固定源にして近心に倒れこんでいる第二大臼歯を整直させる方法と、外科的に再植をする方法、それぞれを使った症例を紹介していただきました。
どちらの方法で治療するかは、どちらの方法が良いとは一概には言えず、治療にあたっての難易度、第二大臼歯の埋伏の状態(歯軸や骨内での深さ)、また何が患者にとって最も良い方法かということを考慮して選択すべきだと説明されました。
講演では出現頻度は 0.03%と説明されていましたが、Posterior discrepancyによって出現するこの症状は、近年見かけることがますます増えてきているように感じます。
日々の臨床でよりよい結果に結びつけるべく、とても参考になる症例を供覧していただきました。

海外招待者講演2 Dr. Chong-Ook Park

海外招待者講演 2
「Effective treatment strategies to optimize skeletalclassⅢ open bite malocclusion with a maxillaryconstriction:Over 2 years of post treatmentretention and stability」
Dr. Chong-Ook Park(Adjunct Professor, Seoul National University Department of Orthodontics,Clinical Professor, Catholic University Departmentof Orthodontics他)骨格性Ⅲ級開咬症例の治療について、ご講演いただきました。
骨格性の不正咬合を効果的に治療するには、理想的な咬合を獲得するためにも長期的な安定を目指すためにも、狭窄している上顎の歯列を拡大し、十分な歯列幅径を獲得することが非常に重要です。
成長期の患者には上顎骨の拡大をしながらlipbumperやvertical chin cap、protraction headgearなどを用いて治療を行います。
一方、成人の患者には通常の拡大装置のみならず、Surgically Assisted RPE(SARPE)やLe FortⅠ型骨切り術などの外科的処置を伴う方法やMicroimplant Assisted RPE(MARPE)も必要となる場合があります。外科的処置を行うほどの難症例であっても、SARPEを併用することでLe FortⅠ型骨切り術単独で行うよりも移動量を減らすことができたり、術後の安定が増したりするといった利点があります。外科的処置を希望しない患者も少なからずいますが、非外科の治療法では骨格的なアンバランスの修正が困難なばかりではなく、長期的な安定も難しくなる場合があります。
骨格性Ⅲ級開咬症例の治療にあたっては、患者ごとに適切な方法や装置を使うよう治療計画を立案し、それについてそれぞれの患者を教育し、説明を重ねていくことが私たちプロフェッショナルとしての仕事だと結んで、ご講演を終えられました。

岡崎好秀先生(左)と座長の深井統久先生(右)


【スタッフプログラム】

プログラム1
モンゴル健康科学大学 客員教授( 前 岡山大学病院小児歯科 講師)歯学博士 岡崎好秀先生をお招きしてご講演いただきました。
先生の最近のモットーは"偉くなることより、ビッグな仕事をしたい!"、"楽しい"ことを創造性の原点でいかに楽しく仕事をし"自分の仕事と趣味を一致"させることができるかを追求すること、と述べていらっしゃいました。
そして歯科治療の現場へのメッセージとして、「"子どもの歯の治療"と言えば"泣くこと"を思い浮かべるでしょう。でも泣いたまま帰ると、次はもっと泣くのです。これを"心に借金をして帰る"と言います。" 心に借金"をすると、まさにサラ金のように倍々ゲームで借金が増えていきます。そして人間関係もダメになるのです。一方、"笑顔で帰る"、すなわち"心に貯金をして帰る"と、次に来た時には前よりも"おりこう"になるのです。そういう関係を心がけていると、いつまでも来てくれる患者さんになるのです」と、非常に示唆に富んだメッセージをいただきました。
岡崎先生のご講演内容は非常に幅が広く、歯科医の眼、患者の眼、頭の毛の先から足の裏、さらには宇宙まで視野を広げて、口の中との関係についてお話がありました。また最近は、ヒトの口の機能の発達にも関心をお持ちで、進化や動物学の情報収集に余念がなく、有名な動物園や水族館へ往診し歯の治療のアドバイスを行ってらっしゃるとのこと。スライドではイルカの歯科治療の様子が紹介されていました。博学無比な岡崎先生のご講演は、興味の範囲を歯科から世界に広げるという大きな夢を、日本臨床矯正歯科医会の参加スタッフにご示唆いただけたことと思います。

プログラム2
スタッフ・ラウンドテーブル・ディスカッション(RTD)
例年好評を博しているプログラムで、今回は15名のモデレーターにそれぞれテーマを挙げてもらい、各テーブル5〜13名に分かれて総勢161名にてディスカッションをしていただきました。矯正歯科医院のスタッフとして全国から集まった人々が様々なテーマに関して直接疑問や悩み、新しいアイデアについて話し合え、意見交換できるのは大変有意義なプログラムであったと思います。以下は各テーブルのテーマとそのモデレーターです。

RTDの様子
1) フロスと出会って私は変わった 〜今までのTBIは何だったの?〜
寺田奈津子(じゅん矯正歯科クリニック 歯科衛生士)

2) 矯正患者に対する効率的なブラッシング指導について(1期治療期において)
平岡利恵(医療法人深井矯正歯科クリニック 歯科衛生士)

3) Electropalatography(EPG)を用いたMFTの評価について
山地加奈(こうざと矯正歯科クリニック 歯科衛生士)

4) 当院におけるMFT患者のデータ管理方法
飯嶋あい(東戸塚たいらく矯正歯科 歯科衛生士)

5) 成長期の子どもたちを健やかに育てるために私たちができること
細田佑紀(小川矯正歯科 歯科衛生士)

6) 初診カウンセリングでのトリートメントコーディネーター(TC)の役割
中谷藍(岡下矯正歯科 トリートメントコーディネーター)

7) 機能的矯正装置の設計と製作法
大村美鈴(のむら矯正歯科 歯科技工士)

8) 技工物の設計とその管理について
山本孝教(岡下矯正歯科 歯科技工士)
RTDモデレーターの集合写真
9) 信頼関係を築くための受付スタッフとしての関わり方
松尾利枝(小川矯正歯科 受付)

10) 円滑な診療のための診療補助
塚本幸(医療法人タカハシ矯正歯科 歯科衛生士)

11) 院内の在庫管理について
湯浅志穂(平岡矯正歯科 歯科衛生士)

12) 通院が楽しみになる医院づくり
小寺真智子(医療法人深井矯正歯科クリニック歯科衛生士)

13) 患者さんとのコミュニケーションロスによるトラブルを軽減させるための工夫
黒宮麻由美(いけもり矯正歯科 歯科衛生士)

14) 診療時間外における患者さんからの連絡対応についての工夫
池森伸江(いけもり矯正歯科 歯科衛生士)

15) 矯正歯科治療と管楽器
金高由香(のむら矯正歯科 歯科衛生士)

日本臨床矯正歯科医会 平成29年度通常総会・6月例会レポート

日本臨床矯正歯科医会 平成 29 年度通常総会・6 月例会レポート

富永 雪穂会長による挨拶
 公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会(富永雪穂会長)(以下、本会と略す)は、平成29年度通常総会・6月例会を、去る6月7日(水)、8日(木)、メルパルク大阪にて開催いたしました。
 本会では、矯正歯科を取り巻く環境が急速に変化している社会状況に対応し、国民が安心して矯正歯科医療を受けられるように、矯正歯科医療に関わる各種の情報発信を継続的に行うとともに、矯正歯科専門開業医療機関の質の向上と治療の安心・安全を目指しています。
 本例会でも総会、各委員会プログラムをはじめ、症例展示、会員発表、スタッフプログラムなどが行われました。


【日本矯正歯科学会からのお知らせ】
中村 芳樹先生(公益社団法人日本矯<br />
正歯科学会倫理・裁定委員会委員長)

「転医に際しての返金指針と臨床・疫学研究倫理審査について」
中村 芳樹先生(公益社団法人日本矯正歯科学会倫理・裁定委員会委員長)
 近年、矯正歯科治療の料金トラブルが増え、厚労省や消費者庁はその対応に苦慮しています。
 日本矯正歯科学会は患者に安心して安全な矯正歯科治療を提供することを目的とし、倫理規程の改定を行い、『治療費返金の指針』を策定し、その旨をホームページに公開しています。

講演の様子―1 中村 芳樹先生


 これに違反し倫理規程違反と判断された場合は、日本矯正歯科学会倫理審査・懲戒規則が適用されると指摘されました。
 次に、臨床・疫学研究倫理審査の内容について示されました。
 人を対象として研究をする際には、研究倫理審査委員会の承認を得ることが前提になりますが、開業医にとって研究倫理審査の承認を得ることが困難な場合があります。
 そこで日本矯正歯科学会の会員支援を目的として『臨床・疫学研究倫理審査委員会』を発足させ、会員の要請に応えられる体制を整えたと説明されました。


村 千鶴子先生(東京経済大学現代法<br />
学部教授、弁護士)
「矯正歯科医療と特定商取引法の現段階」
村 千鶴子先生(東京経済大学現代法学部教授、弁護士)
 2016年6月3日に公布された改正特定商取引法では、『特定継続的役務提供取引』の規制対象に『美容医療』が追加されることになりました。
 2015年の消費者委員会特定商取引法専門調査会の議論で『美容医療』の範囲として、『審美歯科』に含まれるホワイトニングと共に『歯列矯正』が指摘されました。
 『歯列矯正』について、今回は、『美容医療』に含まれないことになりましたが、業界全体で問題解決の為の自浄作用ができない場合は今後、規制対象とされる可能性があります。

当日の会場の様子


 今回の講演では、美容医療の状況や範囲を解説され、特定商取引法の規制の概要、中途解約のルールの説明がありました。
 またこれまでも消費者の中途解約、料金の清算については、消費者契約法による規制があり、説明いただきました。
 最後に、1. 返金・中途解約の契約条項の適正化、2.誇大広告の是正、3. 契約の際のきちんとした説明及び熟慮期間の保障を業界全体で取り組むことが大切であることを指摘されました。

【広報委員会プログラム】

広報委員会プログラム 1

「二人でできる地域密着型市民セミナー」
高橋 知江子会員、矢野 収一会員(九州支部)

 人口13万人足らずという地方都市で矯正歯科を標榜する一般歯科開業医も多い中、地元の歯科医師会のイベントを通じ、人間関係や利害関係を損なうことなく行ってきた地道な矯正歯科の広報活動を報告していただきました。
 地元歯科医師会で毎年開催される『むし歯予防デー・イベント』を活用し、周囲の歯科医師からの反応を一番に配慮しつつ、少しずつ活動内容を拡大し、小さな改善を重ね、最終的にはイベントの中でも存在価値を認められることに至った経緯は大変興味ある広報活動であり、他支部におきましても非常に参考になるご発表となりました。


広報委員会プログラム 2

「平成27年度・28年度の広報活動の総括 ―今季新規事業と従来の事業の視点から」
三村 博会員(広報担当理事)
 この2年間の広報事業は、新・東京宣言以来、公益事業の目的を「広く国民の健康増進を図るため、臨床矯正歯科医療に関する普及啓発活動を行い、矯正歯科医療の向上を図り、もって臨床矯正歯科医療の進歩発展に寄与する」と掲げ、公益事業の根幹に広報活動があるものと考え、進められました。

平成27・28年度実施された広報事業として
1. web事業
2. 内部広報としてのニューズレター
3. 矯正歯科啓発事業
を展開し、特にメディアリレーションに事業の重心を置き、本会の活動や本会の主張をいち早く本会HPに掲載することにより、国民に対してより迅速に正しい矯正歯科治療についての本会の立場を発信することに努めました。


【社会医療委員会プログラム】

社会医療委員会プログラム 1

講演の様子―2 小畑 真先生



「社会医療委員会活動報告」
土門 明哉会員(社会医療担当理事)
 東日本大震災被災者支援事業報告、熊本地震の被災矯正歯科患者へのメッセージを当会ホームページに掲載、小冊子「保険で治せる矯正歯科治療があるってご存知ですか?」の改訂、「診療ステップに関する指針」の策定状況などの事業報告および平成28年度診療報酬改定における改定項目の要点の説明が行われました。


社会医療委員会プログラム 2

「『矯正歯科何でも相談』白書Vol.7 発刊のご報告」
藤山 光治会員(社会医療委員会委員)
 平成27年1月より平成28年12月までの相談内容を「矯正歯科何でも相談白書 Vol.7」にまとめ、発刊。Vol.7では190件と前期の2倍以上の相談件数となりました。
 これは、NHK朝の情報番組「あさイチ」の報道の影響と考えられます。
 2年間の統計データの報告、相談内容の抜粋およびその回答例が紹介されました。

【医療管理委員会プログラム】


小畑 真先生(弁護士法人小畑法律事務<br />
所代表弁護士、北海道医療大学客員教授)


「患者説明・労務環境アンケート結果から見た矯正歯科におけるこれからのリスクマネジメント」
小畑 真先生(弁護士法人小畑法律事務所代表弁護士、北海道医療大学客員教授)

 近年、患者トラブル、労務トラブルが増加していますが、その原因として、インターネットに溢れる
 様々な情報を事前に収集して治療に臨む患者や勤務するスタッフが増加していることに伴い、自己の権利を主張しやすい社会状況にあることが考えられます。
 また、歯科医療機関側も、様々なルールの整備を後回しにして、集患・増患、自費率アップといった収入を増加させることに興味が集中しがちであることも大きな要因の一つと考えられます。
 医療と同様、具合が悪くなったら(「トラブルになったら」)ではなく、トラブルを「予防」していくという視点は、健全な医院経営や良質な医療を提供するうえでとても重要となります。
 今回、歯科医師でもある弁護士の小畑 真先生に、本会会員に対して行った、患者説明及び労務環境アンケート結果をもとに、今後、矯正歯科医がどのような心構えを持っていくべきかなどについてお話しいただきました。

【学術委員会プログラム】
「学術委員会報告」
森本 徳明会員(学術理事)
 「症例報告」と「学術発表」の二点について説明がありました。「症例報告」については、その趣旨から具体的な記述形式にわたり、少しでも会員が報告しやすいように説明がありました。
 「学術発表」については、大会で発表される際に近年必要とされる「研究倫理審査」と「利益相反(COI)」について説明されました。次回(岡山大会)から必要とされるため、早急な対応が求められることを訴えました。

 学術委員会プログラムでは平成28年度通常総会・6月例会と、第44回日本臨床矯正歯科医会千葉大会の症例展示でそれぞれアンコール賞に選ばれた2症例と千葉大会の学術展示で選ばれた1題について、各会員からの発表がありました。以下に発表の要旨を紹介します。

「下顎第二大臼歯萌出障害における矯正歯科治療」
荻原 祐二会員(神奈川支部)
 以前から神奈川支部学術委員会では「下顎第二大臼歯の萌出障害」をテーマに報告を行ってきたが、今回はそれに対するアプローチの方法について調査した。

 その結果、以下の4パターンに集約された。
① 後方部スペース不足の場合は第三大臼歯抜去、
② 後方部と前方部ともにスペース不足の場合は小臼歯抜去、
③ 後方部と前方部のスペース不足が著しい場合は小臼歯および第三大臼歯抜去を、
④ その他に第二大臼歯抜去であった。この4パターンの代表的な治療例が提示された。


村木 一規会員(東海支部)

「Gummy smileを伴ったAngleⅡ級2類過蓋咬合症例」
村木 一規会員(東海支部)
 28歳9カ月の女性で、Gummy smileを伴うAngleⅡ級2類過蓋咬合症例の矯正歯科治療を行うにあたり、まずAngleⅡ級1類の状態にすることを当初の目標にした。
 上顎左右側第一小臼歯を抜去してバイオプログレッシブの治療を開始した。
動的治療期間は2年7カ月で、下顎のロックが解放され、運動制限のない良好な咬合を獲得し、顎関節のクリックも消失した。
 動的治療後約3年経過した時点でも良好な状態を維持している。

内田 春生会員(甲信越支部)
「第一期からの上顎前突治療」
内田 春生会員(甲信越支部)
 初診時年齢8歳1カ月の女児で、鳥貌を伴う上顎前突症例の矯正歯科治療を行うにあたり、まず第一期治療としてフレンケル装置を用いることによりAngle Ⅰ級に近い上下顎前突になった。
 第二期治療として上下顎左右側第一小臼歯を抜去して歯科矯正用アンカースクリューを用いた治療を行った。
 下顎の旺盛な前方成長により良好なプロファイルと咬合状態が得られた。
 会場ではガムを用いて下顎位を安定させる要因について説明された。


【編集委員会プログラム】
「編集委員会報告」
根来 武史会員(編集委員会副委員長)
 今期、編集委員会では、通常の雑誌発刊業務に加え、論文作成にかかわる「論文の作成についての指針」、「投稿要領」、「査読の基準」について見直しを行い、それをまとめた資料「投稿の手引き」を新規に作成し、会員へ送付しました。
 本会会員が投稿される論文は科学論文なので、その書き方、査読の方法には一定のルールがあると同時に、雑誌の理念に基づき幾分の差異があります。
 そこで本雑誌のルールをまとめ、先生方の臨床での成果を十分に報告でき、
また経験による知見を論文としてまとめるための手助けとなればという思いで作成しました。
 また、近年、臨床研究を行う上で権利保護のための「同意書」および「著作権」、研究の真正性の確保のための「研究倫理」「利益相反(COI)」に関する知識が
必要となってきており、当然のことながら「研究倫理審査委員会」の設置も早期に行う必要があります。

講演の様子―3 天野 敦雄先生



 「投稿の手引き」を片手に、会員が積極的に論文による発表を行っていただければ、本会の雑誌の投稿数と質の向上に寄与し、個人の業績としてだけではなく、本会が学術団体としても十分発言力をもち、益々発展することにつながるものと信じています。


天野 敦雄先生(大阪大学大学院歯学<br />
研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯<br />
科学分野教授)
【隣接医学講演】
「病原性の高いプラークと低いプラークを見分ける科学」
天野 敦雄先生(大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯科学分野教授)
 歯周病の原因は、プラークの病原性と歯周組織の抵抗性の均衡崩壊による。そしてプラークには病原性が高いプラークと低いプラークがあり、病原性が高いプラークでは特にP.gingivalis II型が歯周病の悪化に大きな影響を及ぼしていることなど、歯科医師として知っておくべき歯周病とプラークの病原性の基礎知識を、楽しく、そしてとてもわかりやすくご講演をしていただきました。


【スタッフプログラム】

プログラム 1

「歯科医院で働くために知っておきたいこと」
小畑 真先生(弁護士法人小畑法律事務所代表弁護士、北海道医療大学客員教授)
 歯科医院で働くためには、患者さんに対してはもちろんのこと、院内での連携や歯科技工士、歯科器材業者など院外の関連業者との連携も必須であるので、スムーズに仕事をしていく上でも、コミュニケーション能力を高めていく必要がある。
 「歯科医療」というものは様々な「ルール」を守って行わなければならないことを忘れてはいけない。
 少なくとも自分が働く業界のルールを知ることは、スムーズに仕事をする上でも、自分の身を守る上でも、そして、より良い医療を提供する上でも、非常に重要なことである。
このように、歯科医院で働くスタッフが、社会人として医療人としてプロとして、最低限のルールを認識しつつ、自覚を持って働くことは、無用なトラブルを防ぐことに繋がる。
 働きやすい環境を創り、患者さんに安心して良質な医療を提供し続ける上で、非常に重要なことなので、歯科医院で働くために知っておきたいルールを中心にお話しいただきました。

プログラム 2

濱田 智恵子先生(株式会社Tomorrow<br />
Link 代表取締役/歯科衛生士)
「スタッフが輝きあえるチームのために必要な3つの習慣 ~院内のちょっとした習慣で、お互いに尊重しあい高めあえる関係について~」
濱田 智恵子先生(株式会社TomorrowLink代表取締役/歯科衛生士)
 歯科医院スタッフ育成や院内システム構築サポートを行っていて感じるのは、チーム力を100%実力発揮するのは簡単ではないということ、またチームでプロ意識を持って仕事をするのと仲良く仕事をするのとは異なるということです。
 「歯科医院」は医院ごとに理念があり、その理念に基づいてスタッフ全員で患者さんをサポートする場所ですが、スタッフ同士が「医局では仲良く元気だけど、診療室だとお互いに言いたいことが言えない...」「医局でも診療室でも会話がない...」などでチーム力を発揮できていないケースも少なくありません。


 そこで今回は「チーム力を発揮し、患者さんをサポートできる歯科医院って?」を解決するヒントとして、輝きあえるチームのために必要な3つの習慣

① お互いの仕事に興味を持とう!
② 会話する時間を作ろう!
③ そして、お互いの背負っている荷物の中身を軽くしよう!
を紹介していただきました。
 つまり、対患者さんだけではなくスタッフ同士においても互いに気遣い、コミュニケーションをとることが大事であるということを経験談も踏まえてご講演いただきました。

スタッフプログラムの様子 濱田 智恵子先スタッフプログラムの様子―2 下野 正基先生


プログラム 3

正基先生(東京歯科大学名誉教授)

「歯肉を見る・知る ~矯正歯科クリニックのドクターとスタッフのために~」
下野 正基先生(東京歯科大学名誉教授)

1. 歯肉のしくみとはたらき
2. 歯肉からみた歯周組織
1)歯肉の異常形体から何が分かるか?
2)歯周ポケットはどのように形成されるか?
3)歯周ポケット内では何が起こっているのか?
4)プロービング時の出血は何を意味するのか?
5)歯周病菌は本当に血管に入るのか?
6)長い付着上皮は短くなるのか?
7)歯周基本治療はなぜ重要なのか?
8)ルートプレーニングはどこまでやれば良いのか
3. 歯の移動と歯周組織

など、基礎的観点と矯正歯科臨床に則した内容を話していただきました。


(文責:日本臨床矯正歯科医会・大会運営委員会・広
報委員会)

日本臨床矯正歯科医会平成29年度通常総会・6月例会案内

公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会(富永雪穂会長)は、平成29年度通常総会・6月例会を、平成29年6月7日(水)、8日(木)、メルパルク大阪にて開催いたします。

今回も総会、各委員会プログラムをはじめ、隣接医学講演、教育講演、症例展示、会員発表、スタッフプログラムなどが予定されています。会員の皆様のみならず、勤務医やスタッフの方すべてに有益な情報や体験を得ていただけるよう配慮がなされたプログラムになっております。ぜひ皆さまでご参加いただきますようお願いいたします。

会期:平成29年6月7日(水)12:30~18:10 / 8日(木)9:00~16:35

会場:メルパルク大阪 
〒532-0003 大阪市淀川区宮原4-2-1
http://www.mielparque.jp/osaka/
メイン会場:4F ソレイユ
症例展示会場:6F 末広
懇親会およびスタッフプログラム:5F カナーレ

平成29年6月7日(水)
●受付 12:30~13:00
●開会式 13:00~13:10
●総会 13:10~15:10
●新会員紹介(渉外)15:10~15:25

●広報委員会プログラム15:40~16:30  座長 阿部 純子
『二人でできる地域密着型市民セミナー』 高橋 知江子(広報委員会委員) 
矢野 収一 (九州支部)
『「平成27年度・28年度の広報活動の総括」今期の新規事業と従来の事業の改革の観点から』三村 博(広報担当理事)

●隣接医学講演 16:40~18:10 座長 鮎瀬 節子
『病原性の高いプラークと低いプラークを見分ける科学』
天野 敦雄教授(大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座 予防歯科学分野
教授)

●症例展示 13:00~18:10

●懇親会(会場:5F カナーレ)18:30~20:00(新会員紹介も行います)


平成29年6月8日(木)
●学術委員会プログラム1 9:30~ 9:50  座長 土屋 公行
『学術委員会報告』    森本 徳明(学術担当理事)

●編集委員会プログラム 9:50~ 10:10 座長 石川 剛
『編集委員会報告』    根来 武史(編集委員会副委員長)

●社会医療委員会プログラム1 10:15~ 10:35  座長 北村 裕
『社会医療委員会活動報告』 土門 明哉(社会医療担当理事)

●社会医療委員会プログラム2 10:35~ 10:55 座長 北村 裕
『「矯正歯科何でも相談」白書Vol.7 発刊のご報告』 藤山 光治(社会医療委員会委員)

●日本矯正歯科学会からのお知らせ 11:05 ~ 11:25 座長 富永 雪穂
『日本矯正歯科学会からのお知らせ--転医に際しての返金指針と臨床•疫学研究倫理審査について--』中村 芳樹先生 (公益社団法人日本矯正歯科学会 倫理•裁定委員会委員長) 

●教育講演 11:30 ~ 12:10 座長 富永 雪穂
『矯正歯科医療と特定商取引法の現段階』
村 千鶴子先生(東京経済大学現代法学部教授 弁護士) 

●学術委員会プログラム2 13:40~ 14:50  座長 土屋 公行
アンコール賞受賞者発表
学術展示『下顎第二大臼歯萌出障害における矯正歯科治療』荻原 祐二(神奈川支部)
症例展示『Gummy Smileを伴ったAngle II級2類過蓋咬合症例』村木 一規(東海支部)
    『第一期からの上顎前突治療』内田 春生(甲信越支部)

●医療管理委員会プログラム 15:35~ 16:25 座長 野村 聡
『患者説明・労務環境アンケート結果から見た矯正歯科におけるこれからのリスクマネジメント』 小畑 真先生(弁護士法人小畑法律事務所 代表弁護士、北海道医療大学客員教授)

○スタッフプログラム1( 5F カナーレ) 9:50 ~ 10:50 座長 坂本 紗有見
『歯科医院で働くために知っておきたいこと』小畑 真先生(弁護士法人小畑法律事務所代表弁護士、北海道医療大学 客員教授)
 
○スタッフプログラム2( 5F カナーレ) 11:00 ~ 12:00 座長 深井 統久
『スタッフが輝きあえるチームのために必要な3つの習慣〜院内のちょっとした習慣で、お互いに尊重しあい高めあえる関係について〜』 
濱田 智恵子先生(株式会社Tomorrow Link代表取締役/歯科衛生士)

○スタッフプログラム3( 5F カナーレ) 13:40 ~ 15:10 座長 高橋 洋樹
『歯肉を見る・知る〜矯正歯科クリニックのドクターとスタッフのために〜』
下野 正基先生(東京歯科大学名誉教授)


●新会員オリエンテーション 12:15~12:30( 対象 新会員)6F 高砂
●支部長会         12:35~13:35         6F 高砂
●症例展示(会場:6F 末広)  9:00~15:05( 質疑応答14:50~15:05)
●第45回日本臨床矯正歯科医会大会案内(中四国支部) 16:25 〜 16:30
●閉会式 16:30~ 16:35


【例会参加費】         (事前申込みH28年5月24日 (水)まで/5月25日以降)
a. 正会員・会員家族(歯科医師以外)                   無料
b. 準会員                           6,000円/ 7,000円
c. 本会会員家族(歯科医師)・会員診療所勤務医          5,000円/ 6,000円
d. 会員診療所スタッフ(衛生士、助手、技工士)         6,000円/ 7,000円
e. 会員外歯科医師(今後入会を考えている方、事前申込のみ)  10,000円/
f. 懇親会費(区別なし)                    5,000円/ 6,000円
g.プログラム集                            500円

以下のサイトから参加申し込みを行っていただくことが可能です。ぜひご利用ください。
http://www.kokuhoken.or.jp/form/jpao/reikai29/


●お問い合わせは、下記 口腔保健協会までお願いいたします。
〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9
  (一財)口腔保健協会 学会部内
   日本臨床矯正歯科医会事務局
Tel:03-3947-8891/Fax:03-3947-8873

第44回日本臨床矯正歯科医会大会 千葉大会レポート

「成長期の不正咬合を考える-連携の新しい形-」をテーマに

公益社団法人・日本臨床矯正歯科医会(富永雪穂会長)は2月22・23日(水・木)の両日、千葉・ヒルトン成田にて第44回千葉大会(土屋俊夫大会長)を開催いたしました。本大会は「成長期の不正咬合を考える-連携の新しい形-」をメインテーマに土屋俊夫大会長、高橋洋樹実行委員長、佐藤國彦事務局長をはじめ千葉支部の先生方のご尽力により、474名の方にご参加いただき成功裡に閉幕しました。
 
また大会に併設して行われたエクスカーションには、成田山参道散策と護摩見学やディズニーランドホテルランチパーティなど千葉県ならではの企画に多数の参加があり、会員同士あるいは診療所間の懇親がはかられました。
それでは大会内容の一部をご紹介いたします。


【臨床セミナー】
「上顎前突の最適な治療開始時期はいつか?」という問いは、現在に至っても様々な検討がなされてきており、上顎骨の成長抑制や下顎骨の成長促進は矯正歯科臨床において有効な治療手段として認知されてきましたが、一方で有効でないとする意見もあります。
2014年には日本矯正歯科学会により、 「矯正歯科診療のガイドライン-上顎前突編-」が策定されており、矯正歯科治療に従事する者は「診療ガイドライン」が意味することとその運用法について正しく理解する必要があります。

千葉大会レポート稲毛滋自会員は、「骨格性上顎前突の早期治療について考える その1 -骨格性下顎遠心咬合の早期治療は有効か-」と題し、関係論文のレビュー、特に矯正歯科治療における randomized clinical trialの有効性に対する疑問を提起した Darendelilerによる2006年の論文についての解説と、昨年8月に行った『混合歯列期の下顎遠心咬合を伴うhigh angleでない骨格性上顎前突の患者』を課題症例とした会員アンケートから、治療開始時期等に関するアンケート結果を兼元廣明会員とともに発表されました。

千葉大会レポート末石研二先生(東京歯科大学歯科矯正学講座教授)には、「上顎前突の早期治療は有効か」と題し、日本矯正歯科学会のガイドラインの検討過程を含めた解説とその解釈の仕方を中心にご講演頂きました。また後半では実際の早期治療症例を多数ご提示いただきました。
 診療ガイドラインはより安全な医療を提供する上で重要な意味を持つものと考えられますが、多様な症型を有する矯正歯科分野では、それを診療の指針として実際の症例に直接適用することはできません。エビデンスだけでは無く、患者さん一人一人に対してナラティブに対応する必要性が高いと考えられました。


【シンポジウム】
「学校歯科健康診断、歯列・咬合・顎関節の事後措置における地域連携を考える」千葉支部シンポジウム実行委員会

千葉大会レポートコーディネーター 黒田敬之先生(東京医科歯科大学名誉教授) 
「最近の日本学校歯科医会の目指すところ」

日本学校歯科医会(以下、日学歯)での歯列・咬合・顎関節に関する健康診断がどのような歩みで今日を迎えているかについて簡単に次のような紹介がありました。昭和13年ごろにはすでに「口腔診査の御通知(但し歯列異常に就て)」が家庭へ配布されていたこと、昭和15年には、竹内嘉兵衛氏(校長)の考案による咀嚼訓練法なるものも発表されていたことなどについて触れられました。さらに、昭和58年頃より、口腔機能と不正咬合の問題を検討する委員会も設置され活動を始めたこと、当初は、新しい課題に対する日学歯内での受け止め方や、日本矯正歯科学会からの専門学会としての目線などから、必ずしもスムースな展開にはいたらなかったとのことでした。このような背景のもと、昭和62年には、歯列・咬合と口腔機能との関係の解説冊子の発行、平成7年には、学校歯科健康診断における歯列・咬合・顎関節の診査基準の導入、さらに昨年には発達段階に対応した診査基準の改訂も行われるまでに至ったことが紹介されました。
これら一連の歩みを踏まえ、歯列・咬合・顎関節の診査が、矯正歯科治療への薦めという視点ではなく、子どもたちの口腔の状態の把握と将来のQOLの向上についての教育的観点から、学校歯科医、養護教諭、地域歯科医療担当者との緊密な連携の必要性を強調され、このシンポジウムのねらいを評価されました。

千葉大会レポートパネリスト 中村道先生(高橋矯正歯科診療所所長)
「咀嚼機能の向上」

250~300μの微小粒子が2000個ほど入ったガム(ウェルカムガム)を用いて、一回咬む間につぶされる微小粒子の割合を咀嚼効率値として算定し咀嚼機能を評価します。年代別の咀嚼効率値は成人までは緩やかに上昇し、その後はほぼ一定となるが、最近の20~30代はやや低い傾向がみられます。咬合治療により不正咬合が改善すると咀嚼効率値は概ね上昇するが、一時期低下したり、上昇まで時間を要する症例もあります。咀嚼訓練を行うと咀嚼効率値は上昇し、さらに、姿勢を正して咀嚼訓練をした結果では数値がさらに上昇しました。
給食で定期的に咬み応えのある食材を咬む指導をしたり献立を工夫したりしている学校の学童は高い咀嚼効率値を示しました。学校教育は子供たちが一生、元気で健康に過ごすための準備、育成期間だから、生きることすなわち機能するための咀嚼の向上を目指した咬合の不正についての教育や指導、訓練、場合によって治療等の対応が大切だと思うとの講演がありました。さらに日本における矯正歯科治療は、その黎明期から形態だけを整えるのではなく、機能を重要視していたとのメッセージも示していただきました。

千葉大会レポートパネリスト 小縣雅子先生(千葉県印旛郡市養護教諭会会長)
「学校における歯科保健の未知なる分野」

現在の学校教諭は多忙を極めており、養護教諭も同様である。そのような中でも、学校での歯科保健の取組みは保健指導や健康教育の定番であり、齲歯の劇的減少という目に見える成果があるため、指導は定着したという思いがあったものの、歯列・咬合・顎関節については、健康診断の結果通知として各家庭に用紙を配布するが、相談があった場合でも「学校歯科医の指示です」という対応をするしかなく、学校の指導の手を離れた存在、すなわち保健指導をするという視点が全くありませんでした。しかし、これらを相談したい子供たちがいるのは事実であり、正しい医学的知識を持った上で、少しでも情報の提供や経過を追った指導ができるとしたら、そこで初めて、学校歯科健康診断での歯列・咬合・顎関節診査の実施意図を果たすと思うようになりました。子供たちの将来をみすえた健康教育という目標を軸として、養護教諭もさらに研修を積んでいかなければならないという思いをご講演いただきました。
今回のシンポジウムには90名の学校歯科関係者の参加があり、歯列咬合の診査において、歯列はdental arch(alignment of teethではない)、咬合はocclusion(occlusal relation of teethではない)であることを、講演の中でお示しいただきました。

千葉大会レポートパネリスト 坂本眞理子先生(前渋谷区歯科医師会会長)
「渋谷区における地域連携をふまえた組織づくり」

現在の渋谷区歯科医師会は、平成24年に公益社団法人に移行する際、別組織の学校歯科医会を統合した受託事業の協力医数が約180名の組織であり、会内組織の学校歯科医会は、小中部、幼保部という構成により学校保健を担う体制になり、任期制を導入し、広く会員から協力医を募る募集制としました。学校歯科医と園歯科医の働きを本会が把握・管理し、かかりつけ歯科医による健診の結果の理解につとめ、協力医全体会等の定期開催により学校歯科医と地域の先生方の連携が取りやすい組織機構にしました。
学校での顎関節や歯列・咬合に関する講演は矯正専門歯科医に依頼し、健診マニュアルの中で基準の統一に参画を求めています。園医・学校歯科医には、健診結果が矯正歯科治療の絶対的な必要性を示唆しないという説明をし、保育園・幼稚園・学校との十分なコミュニケーションをとり、指しゃぶりや悪習癖などの保育士・養護教諭の先生からの情報も参考の上、保護者向け説明用パンフレットを作成しています。現在は、保健所において、年に2回矯正専門歯科医による歯科相談日を設けて無料で相談ができるシステムになっているという講演をいただきました。渋谷区の具体的な資料等を会員の地元での今後の活動の参考にさせていただきたいと思っています。


<コーディネーターによる総括・まとめ>
パネリストの講演、フロアからの追加発言等で予定終了時間を超過したため、十分な時間のない中で、黒田先生は、矯正歯科医の立場で日学歯の活動を開始されて以来、ようやくこのように養護教諭・学校歯科医(一般歯科医も矯正専門医も)が一同に会して互いに理解し合うepoch-makingな機会が得られたことへの関係各位の努力に対する感謝と、今後、学校歯科医が教育の視点での活動を軸とし、養護教諭ほかの児童・生徒を取り巻く関係者と同じ視点で情報を共有し、お互いを尊重し密にコミュニケーションをとりながら、子供たちのQOL向上のための活動をつづけることへの期待とエールとで、シンポジウムを締めくくられました。
千葉大会レポート


【招待講演】

千葉大会レポート「Move teeth beyond boundary」
Dr. Wen-Chung Chang(Taiwan Association of Orthodontists学術理事)

両顎前突の治療に関して、以前は小臼歯を抜歯してただ単に前歯を牽引していたが、前歯をアップライトしすぎた過去の症例には満足できないとして、口唇の突出パターンをClass I, II, IIIと3タイプに分類し、それぞれに応じた対応が必要であると講演を始められました。

お話は1) Classification of the dental protrusion, 2) Different types of tooth movement, 3) Move teeth beyond boundary, 4) Solution from the related article, 5) My clinical trialという内容で進められました。前歯歯軸と歯槽骨形態に応じて、傾斜移動と歯体移動を考慮して移動することが重要であり、移動方法によって歯槽骨の添加量に差があることを過去の文献(Alexander D. V. 1998)を引用して説明されました。
歯科矯正用アンカースクリューの使用によって、歯の移動のコントロールがより自在になった今日、より高いゴールを目指すことが可能になったが、歯槽骨の添加には限界があり、その解決方法として、骨補填材を用いて骨の裂開が生じた場所に骨の造成を図ることで、borderを超えて歯を移動できるとご紹介いただきました。上下前歯の歯軸のコントロールを確実に行った結果、良好なプロファイルの改善が得られた症例を数多く見せていただき、得るところの多いご講演でした。

千葉大会レポート「Achieving better esthetic results in bimaxillary protrusion treatment」
Dr. Jae-Man Hyun (元Korean Society of Orthodontists会長、現Korean Association of Orthodontists副会長)

今年でJpAO大会参加3回目となるHyun先生のご講演は奇しくもChang先生と同じく、アジア人に多い両顎前突への対応がテーマでした。お話は1)どのように両顎前突症例において美しいプロファイルを獲得するか、2)カムフラージュ治療ではどのようなファクターについて考えるか、3)外科的矯正治療ではどうか、4)さらに追加できるものは?という内容でお話しくださいました。歯槽性の場合の矯正歯科治療での対応、骨格性の場合の外科的な対応、その他の前突の場合の対応について、患者の主訴を理解し、データを分析し、口腔外科医と現実的に可能かどうかを検討して、最終決定するとご説明くださいました。2 jaw surgery + Anterior Segmented Osteotomy、 2 jaw surgery + 回転、2 jaw のtotal set-backなどのさまざまな術式だけでなく、頬骨やオトガイ、下顎骨の顎角部の形態修正などについてもご説明いただきました。そして、それらを駆使した治療結果をご紹介いただき、会員は大きな刺激を受けたようでした。


【会員アンコール発表】

千葉大会レポート池森由幸会員(東海支部)

小下顎症の矯正歯科治療で上下顎同時移動術を併用し、形態と重度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が改善された症例の報告でした。
〔症例〕初診時22歳の女性、小下顎症(ピエールロバン症候群)、口蓋裂術後、重度叢生、矯正歯科治療既往あり。
〔治療経過〕上下顎のレベリング後に、連携医療機関の口腔外科・形成外科にて、上顎骨をLe FortⅠ型骨切り術で上前方へ移動、下顎骨はSSROにて下顎骨体部の反時計回転を伴う前方移動をさせて咬合を改善し、オトガイ部も2段階で前方に移動させた。手術前後のセファロ分析所見では咽頭後部前後径に変化を認めなかったもののOSAは著しく改善した。手術前後の終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)では、手術前は中等度のOSAと診断されたが、手術後では著しく改善され、保定4年後のOSA簡易検査でも良好な数値を維持している。
〔考察とまとめ〕小下顎症の場合、下顎骨を前方に移動させて咬合と顔面形態の改善を図るので、咽頭口部においても、形態的にOSA改善に寄与すると思われる。しかしながら、このような場合でも側面頭部X線規格写真による咽頭口部の前後径や、CTによる気道体積に変化を認めないことがある。OSAに関しては、終夜のSpO2値測定、低呼吸、無呼吸を調べることができるPSG検査、簡易検査等の機能分析でのみ評価されるべきである。

千葉大会レポート堀内敦彦会員(甲信越支部)

咬合が崩壊し治療後の安定が不安視された症例に対し、診断の段階からその原因を探ることで審美的、機能的に安定の得られた症例の報告でした。
〔症例〕初診時年齢32歳の女性で、主訴は下顎前歯の叢生であったが、口腔内は処置歯が多く、上顎右側犬歯が欠損し上下顎歯列弓は非対称、上顎歯列正中線は右側へ、下顎歯列正中線は左側へ偏位、下顎臼歯部の舌側傾斜、小臼歯部の叢生と逆被蓋が認められ、右側前歯部は舌側傾斜、左側前歯部は逆被蓋、頭蓋底、上顎骨の前後的劣成長、TMJの前方位によるHigh angle を伴うSkeletal Class Ⅲ症例。
〔治療経過〕上顎歯列弓の非対称改善のために左側第二小臼歯の抜去、下顎歯列弓の叢生改善のために左右側第一小臼歯の抜去を行った。High angle case であることより、垂直的なコントロールに留意して治療を行った。動的治療期間は2年5か月であった。
〔結果〕上下顎歯列弓は対称性のある良好な形態となり、前歯部の被蓋は改善され、上下顎歯列正中線も一致した。側貌および正貌にも改善が認められ、スマイルも良好であった。動的治療終了後、10年5か月を経過し良好な状態が維持され、非常によく安定している。

千葉大会レポート府川彰久会員(静岡支部)

下顎前歯に咬合性外傷の見られた重篤な過蓋咬合のtwo incisors 症例で、咬合挙上に苦慮された報告でした。
〔症例〕初診時年齢は10歳9か月の女性で、下顎左右側切歯の先天性欠如を伴う著しい過蓋咬合のAngle Class Ⅱ Division 2の症例。上下顎前歯が著しく舌側傾斜していた。
〔治療経過〕上顎前歯部の唇側移動を先行して行い、その後咬合挙上のためバイトプレートを装着、上下顎前歯の機能的障害を解消しつつ、下顎前歯の直立と圧下をはかり、咬合が挙上された後に上顎左右側第一小臼歯を抜去して上顎前歯ならびに上顎歯列の遠心移動を行い、歯列・咬合の再構成をはかった。動的治療期間は5年0か月。 
〔結果〕上下顎の歯槽骨に垂直的な成長がみられ、咬合が挙上された。咬合挙上により、安定した咬合が得られた。動的治療後9年位までは、比較的下顎前歯の舌側傾斜は小さかったが、18年が経過し、下顎第三大臼歯が抜去されると下顎前歯は舌側に倒れてきた。


《スタッフプログラム1》

千葉大会レポート「身体からアプローチするカウンセリング心理学」
真織由季氏(BTU.バランスセラピーuniversal武蔵小杉教室室長ストレスケアカウンセラー、元宝塚歌劇団)

脳疲労(ストレス)を筋肉から脳にアプローチして解消、脳を再活性させやる気や自信を再構築し健康を取り戻すと、問題とともにいきいきと生きることが可能になり、本来のその方の自己資産を100パーセント開花させます。心の熟達を心だけで頑張るのではなく、体の力と脳の力を最大限に活かすということが身体からアプローチするカウンセリング心理学。健康な心はまず、健康な身体から育まれるもの。そして60年前にハンスセリエが日本に「ストレス学説」を提唱した時の言葉通り「ストレスは幸福をもたらす原理である」ことを知っていることも重要とご講演されました。
いくつかの全体ワークも行ないながら、充実した楽しいあっという間の90分間でした。最後に、『希望のうた』を披露して下さり、一緒に唄うララララララ・・・♪で会場がひとつになり大きな笑顔で包まれました。


《スタッフプログラム2》

千葉大会レポート「審美的要求の高い患者に対する当院の試み-美しいスマイルのために-」
斎藤絵里子(はしば矯正歯科)

矯正歯科治療を希望する成人患者の多くはインターネットで様々な情報を得て来院するため、要求は具体的になり高度化しています。患者の年齢層がひろがり舌側矯正治療を選択する患者も増えています。そこで矯正歯科治療の一環として、口腔筋機能療法・スマイルトレーニングに加えホワイトニング治療を行うことで、審美的に優れた顔貌(facial esthetic)の獲得、そして患者がより満足のいく美しいスマイルを目指しています。
発表では舌側矯正歯科治療中に行うホワイトニング治療のメリットやデメリット、そして矯正歯科治療期間にホワイトニングを同時進行させる場合の患者側への配慮、治療のプロセスなどをご紹介いただきました。

千葉大会レポート「矯正歯科スタッフが知っておきたいMFT(口腔筋機能療法)」
橋本律子(大野矯正歯科)

歯科衛生士学校で使用されている最新の歯科矯正学の教科書には MFT の章が追加されており、歯科衛生士を目指す最近の学生は学生時代にMFTを学ぶ機会があります。口腔機能への関心が高まる中、小児の口腔機能育成から高齢者の口腔機能の向上維持などにMFTの一部が活用されており、口腔機能訓練が歯科衛生士の新たな役割として注目されています。特に矯正歯科医院に勤務するスタッフにとって口腔機能や口腔習癖の知識は必要不可欠です。
発表では自院におけるMFTの基本システムや指導の進め方についてご紹介いただきました。

千葉大会レポート「矯正歯科医院におけるプロフェッショナルクリーニングシステム」
佐藤朱美(岡下矯正歯科 非常勤歯科衛生士)

プラークコントロールおよび口腔内の清掃は、円滑な矯正歯科治療の進行に不可欠であり、ブラケット装着前、ブラケット装着後、ブラケット撤去時の歯面清掃に異なる対応が必要になります。
今回の発表では自院で行なっている矯正歯科治療におけるプロフェッショナルクリーニング(歯肉マッサージ・舌クリーニング)の一連の流れについて、口腔内の状況に応じたインスツルメント、材料をどのように選択、使用するのか動画を交えてお話いただきました。


《スタッフプログラム3》

千葉大会レポート「成長期の子供たちを健やかに育てるために私たちができること-その子供本来のカタチに近づけるために-」
小川晴也会員(中四国支部)
 
不正咬合の発症には、成長期における様々な習癖、態癖が関与し、それらを早く発見し癖を取り除くことによって患者本来の成長パターンに戻すことができ、矯正装置を使用することなく治癒させることが可能です。習癖除去のためには、患者自身の「本来の自分自身の形態に近づけたい」という気持ちを引き出すことが大切で、いかに患者を感動させ、やる気を起こさせるかが重要となります。具体的には、1)出生直後からの睡眠態癖に対する啓発 2)離乳食に引き続く正しい幼児食の与え方と正しい嚥下運動の獲得 3)幼児期以降の正しい姿勢と鼻呼吸の必要性 4)小児期以降の態癖および口腔周囲の悪習癖、これら時系列における啓発が大切です。
ご講演では、スタッフ全員での取り組みと、実際の治癒例を、多くのスライドを使用しながら軽妙洒脱、かつ情熱的にご紹介いただきました。


《スタッフプログラム4》
-スタッフ・ラウンドテーブル・ディスカッション-

昨年の長野大会に引き続き、今年も診療所スタッフによるラウンドテーブルディスカッションが開催されました。
会場が大きいこともあり今回は7つのテーマで19のテーブルに別れ、総勢190名ほどが参加し、活気あふれるディスカッションが行われました。どのテーブルも熱心に聞き入るスタッフの姿が印象的で、有意義な時間になったと思います。
以下は各テーブルのテーマとそのモデレーターです。

☆TC
1)『初診カウンセリングでのトリートメントコーディネーター(TC)の役割』中谷藍(岡下矯正歯科)
2)『当院がトリートメントコーディネーターを導入した理由。~これから導入しようとお考えの皆様へ~』永井佑奈(かわぐち矯正歯科)
☆MFT
3)『スマイルトレーニングを含めたMFTの導入方法』山本舞子(ふなき矯正歯科)
4)『Visual feedback効果を用いた口蓋への舌の位置について』山地加奈(こうざと矯正歯科クリニック)
5)『口腔筋機能療法(MFT)のここが知りたい-Q&A-』石野由美子(二子玉川ガーデン矯正歯科)
☆チームワーク
6)『新人教育のポイント』堂園葉月(木下矯正歯科)
☆技工
7)『床矯正装置の製作方法-基本構造とその応用-』更科綾( たけうち矯正歯科クリニック)
8)『矯正歯科における院内技工士の役割』山本孝教(岡下矯正歯科)
☆口腔衛生
9)『矯正治療中の口腔ケア-患者のモチベーションアップの秘訣-』清水成美(銀座並木通りさゆみ矯正歯科クリニック
10)『年齢や症例別の歯ブラシ選び』常吉いすず(のぶしま矯正歯科)
☆その他
11)『ブラケット除去後の歯面のボンディング材除去について』岩崎のぞみ(アルファ矯正歯科クリニック)
12)『上手な印象の取り方・写真の撮り方、みなさんはどんな工夫をしていますか?』大神田美紀(ドモン矯正歯科)
13)『処置中に患者さんに苦痛を与えている行為とその対策』川上沙耶華(のむら矯正歯科)
14)『広げよう新人歯科衛生士の輪』金高由香(のむら矯正歯科)
15)『患者さんの安全確保は大丈夫ですか?-医院の感染対策を見直そう-』片山章子(銀座並木通りさゆみ矯正歯科クリニック
16)『チーム力のあるスタッフを目指そう!!』丸岡恭子(三田矯正歯科医院)
☆コミュニケーション
17)『トラブル防止を目的とした「情報収集・共有」のシステム化』石川陽子(木下矯正歯科)
18)『患者様へのホスピタリティーとコミュニケーションについて』藤内悠起子(表参道高柳矯正歯科)
19)『成長期の子どもたちを健やかに育てるために私たちができること』小林純子(小川矯正歯科)


【ブレース スマイルコンテスト表彰式】

大会初日の2月22日(水)、第12回ブレーススマイルコンテスト(共催;日本歯科矯正器材協議会)の表彰式が行われました。
今回は「ただいま矯正治療中!とっておきの笑顔」をテーマに、全国の3歳から54歳までの幅広い年齢層から310作品と多くの応募があり、厳正な審査の結果「最優秀賞」に熊本県在住の掛須悠由さんの『地震なんかに負けないぞ』、「優秀賞」には小木戸胡春さん(広島県在住)、飯伏莉沙さん(大阪府在住)の2作品が、「千葉大会賞」には村上のの子さん(千葉県在住)が選ばれました。
今年の表彰式は期末試験の時期に開催されたため、表彰式に参加できなかった受賞者からのビデオレターが会場で放映され、会場での登壇では見ることが出来なかったであろう受賞者の生き生きとした表情が映し出されました。表彰式では各賞の作品・コメントの紹介に続いて表彰と各受賞者へのインタビューが行われ、受賞者の素晴らしい笑顔に会場から大きな拍手が贈られました。
現在『ブレーススマイルコンテスト』は日本のみならず韓国、台湾で行われており、今後さらにシンガポールでも行われる予定です。

千葉大会レポート

ブレーススマイルコンテストの受賞者、その家族、それぞれの主治医、海外からの招待者を囲んでの記念撮影
(文責:日本臨床矯正歯科医会・大会運営委員会・広報委員会)


公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会「平成29年度6月例会」ご案内
公益社団法人日本臨床矯正歯科医会の平成29年度6月例会が平成29年6月7・8日(水・木)の2日間にわたり、メルパルク大阪(大阪市淀川区宮原4-2-1)にて開催されます。
お問い合わせは、口腔保健協会までお願いいたします。
●口腔保健協会・学会部内
日本臨床矯正歯科医会事務局 Tel:03-3947-8891/Fax:03-3947-8341

●公益社団法人 日本矯正歯科医会 入会のお誘い (http://www.jpao.jp)
日本臨床矯正歯科医会は、1973年に設立された歴史ある矯正歯科専門開業医の会で、より多くの人たちに、健康な歯、美しい笑顔を獲得していただけるよう、さまざまな活動を行っております。本誌にてご報告しました矯正治療中の患者さんのフォトコンテスト「ブレーススマイルコンテスト」も、その一環で、矯正歯科治療の認知度向上と患者さんに自信を持って治療に臨んでいただける環境作りを続けてきました。
テレビ、週刊誌、インターネットにおいて、玉石混交の情報が多く氾濫し、安易な治療法が次々と紹介される現在、矯正歯科治療に対する正しい理解を一般に広めることが急務であると思われます。こういう時期であるからこそ、矯正専門開業医が力を合わせて直面する問題点を解決し、矯正歯科治療を通して社会にますます貢献することが必要であると考えられます。
未入会の先生方には、是非ともご入会いただけますようご案内申し上げます。ご入会に関してのお問い合わせにつきましては、(一財)口腔保健協会・学会部内の本会事務局(Tel:03-3947-8891、担当澤辺)まで御願いいたします。

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