拡大床による矯正歯科治療のトラブル事例①

<script type="text/javascript">window.___gcfg = {lang: 'ja'};(function() {var po = document.createElement('script'); po.type = 'text/javascript'; po.async = true;po.src = 'https://apis.google.com/js/platform.js';var s = document.getElementsByTagName('script')[0]; s.parentNode.insertBefore(po, s);})();</script>
<script>!function(d,s,id){var js,fjs=d.getElementsByTagName(s)[0],p=/^http:/.test(d.location)?'http':'https';if(!d.getElementById(id)){js=d.createElement(s);js.id=id;js.src=p+'://platform.twitter.com/widgets.js';fjs.parentNode.insertBefore(js,fjs);}}(document, 'script', 'twitter-wjs');</script>
<script>(function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0]; if (d.getElementById(id)) return; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "//connect.facebook.net/ja_JP/sdk.js#xfbml=1&version=v2.5"; fjs.parentNode.insertBefore(js, fjs);}(document, 'script', 'facebook-jssdk'));</script>
■口を閉じられないほどの出っ歯に......!? 前ページでは、矯正歯科治療を取り巻く問題点と背景をご紹介しました。ここからは、拡大床の安易な使用によってどのようなことが起きているのか、事例をもとに解説していきましょう。
Case1 一般歯科医のもとで8年間、拡大床を使った治療を受け、
あごから歯が飛び出してしまったA子さん(18歳)の場合

A子さんが、一家のかかりつけであった一般歯科のもとで矯正歯科治療を始めたのは、6歳になってすぐ。あごに対して歯が大きいため、将来、歯がデコボコにならないようにとの思いからでした。治療先の一般歯科医は「成長期の今、あごを広げておけば、この先、抜歯をしなくてもすべての歯がきれいに並ぶ」という判断のもと、拡大床の使用を勧めたといいます。

A子さんはその言葉を受け、上下の歯に取りはずしのできる拡大床をつけての治療をスタート。そして、拡大を続けること7年7か月。その間、乳歯は永久歯に生えかわり、非抜歯のまま治療は進みましたが、上下の前歯は前に飛び出すようになり、奥歯も含めすべての歯の咬み合わせが不安定な状態に......。食事をしっかりとかむという基本的なことさえうまくできず、経過観察を続けていた18歳のとき、これはおかしいと、矯正歯科専門開業医のもとに駆け込んだのです。

石膏模型
A子さんは指定された装置を真面目に使い続けたにもかかわらず、矯正歯科医のもとを訪れたときには口もとはもったりとし、自然に閉じることができない状態でした。また、歯列にはデコボコが残り、上下の前歯の根っこが歯槽骨(しそうこつ/歯を支える骨)からはみ出し、歯が外側に傾斜して咬み合わせが不安定な状態でした。 ●矯正歯科受診時 矯正歯科受診時 このままではかめないばかりか、歯の寿命も短くなってしまいます。 そこで矯正歯科では、頭部X線規格写真(セファログラム)検査を行い、上下のあごの大きさとズレ、あごや唇の形態、歯の傾斜などを総合的に診たうえで、良好な歯並びと咬み合わせを生涯にわたって維持するため、上あごの両側にある第一小臼歯(前から4本目の歯)と、下あごの両側にある第二小臼歯(前から5本目の歯)の抜歯を提案しました。 ●矯正歯科での頭部X線規格写真検査 矯正歯科での頭部X線規格写真検査 そして、A子さんの承諾のうえで抜歯を行った後、一般的な矯正歯科治療で用いるマルチブラケット(ブレース)をつけた治療を3年6か月行いました。その結果、咬み合わせのバランスが整い、もたついていた口もとの印象もすっきりと変化しました。 ●矯正歯科での治療後 矯正歯科での治療後 ●矯正歯科での治療後に行った頭部X線規格写真検査 矯治療後に行った頭部X線規格写真検査 マルチブラケット治療の前と後を比べてみると、その差は一目瞭然です。 矯正歯科での治療後 ■拡大床は、あごを広げるものではない さて、ここで知っておきたいのが、そもそも矯正歯科治療とはどんなもので、何を目指すのかということです。鶴見大学 歯学部教授の中村芳樹先生は、 「矯正歯科治療とは歯だけでなく、歯周組織やあご、骨を含む領域を扱う医療であり、決して歯並びだけを治すのではありません」と話します。 つまり、治療の対象には、歯のほかに上下の顎骨や筋、神経も含まれているのです。 「なぜなら歯は独立してあるのではなく、内側からは舌が押し、外側からは頬の筋肉や唇が歯を抑えています。こうしたバランス力学の上に歯列は成り立っているわけです。食事や会話ができるのも、歯、顎骨、筋肉、神経の4つの力が統御されているからなのです」 この事実に対して、歯のみに働きかけるのが拡大床という装置です。 「つまり、拡大床はあごを広げるのではなく、歯を押して外側に傾斜移動させるものであり、矯正歯科の中ではマイナーな装置という位置づけです。治療後に後戻り(元の位置に歯が戻ること)が起きやすいのも、拡大床を使用することで舌と頬の筋肉のバランスを崩すことになるためです」 傾斜移動を解説する写真 では、拡大床を使っても、あごが広がることはないのでしょうか? 「その質問にお答えするために、まずは成長発育についてご説明しましょう。人間の歯は、乳歯から永久歯へと生えかわりますね。具体的には、生後6か月で歯が生えはじめ、2歳半で乳歯列が完成し、6歳くらいで乳歯の後ろに第一大臼歯が生え、その後、さらに後ろに第二大臼歯が生えてきます。乳歯列の後ろに永久歯が生える、ここがポイントです。つまり、私たちのあごは成長とともに大きくなりますが、それは横に広がるのではなく、主に後ろに広がるのであって、横幅はせいぜい2~3ミリしか大きくならないのです。拡大床はあごを広げるわけではないので、使ったとしても同じことです」
●あごの成長変化 あごの成長変化 「そのため、矯正歯科を専門に行っている歯科医は拡大床を補助的に使うことはあっても、治療の基本に据えることはありません」 中村先生は、矯正歯科治療の社会からの信頼回復のためにも、拡大床の治療は歯科矯正学ならびに矯正歯科治療について、しかるべき研究機関で5年以上にわたって研修し、高度な診断と治療能力を備えた矯正歯科医が行うべきだと強調します。 にもかかわらず拡大床による被害は頻発しており、拡大を続けて反対咬合(受け口)になったり、5年以上続けて拡大したあげくに結局抜歯をしたりと、様々な問題が出てきているのです。 ★次のページでは、拡大床による不適切治療の2事例をご紹介!