vol.22 咬み合わせから考えよう! 食育と健康 トレンドウォッチ


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咬み合わせから考えよう! 食育と健康

「食育」の実践には、よく噛める自分の歯が不可欠です

■歯と口は生命活動にかかわっている イメージ 食事をとる。おいしいと感じる。会話を交わす。深呼吸をする......。普段何気なくしているこれらの行為を改めて見直すと、いずれも私たちがすこやかに生きていくうえで不可欠なものだとわかります。

では、こうした行為すべてにかかわっている器官は何でしょうか? それは口であり、歯です。 以前のトレンドウォッチでもご紹介しましたが、歯や口は、私たちの日常生活の中で生命活動、社会活動にかかわる大切な5つの役割を担っているのです。
歯と口の5つの役割 ●食事をつかさどる ●発音をつかさどる ●感覚(味覚・触覚・温度覚)をつかさどる ●感染を防ぎ、健康を維持する ●呼吸をつかさどる

■食育の前提は噛めること さて、歯と口の役割の筆頭にあがっているのが"食事"ですが、近年、社会の変化とともに食生活をめぐる状況は大きく変化しています。偏食、過食、無理なダイエット、拒食症、孤食等々......。そこで注目されているのが「食育」です。

食育とは、食事や食物に関する知識と選択力を身につけ、健全な食生活が送れるようにするための教育のことで、2005年に施行された「食育基本法」第二条にはこのように定義されています。
「食育は、食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資することを旨として、行わなければならない。」
これに対し、矯正歯科専門開業医の団体・公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)の稲毛滋自会長は異議を唱えます。
「健全な食生活をすれば、心身が健康になるとありますが、それだけでは不足しているのではないでしょうか」
「なぜなら、三世代が一緒に食事をしたとしても、例えば祖父母の入れ歯が合わず、食べものをしっかり噛むことができなければ、決して健やかな状態とはいえません。笑顔で食卓を囲むには、食育基本法で定められている以外に、よく噛める歯が大事だと思います」
口に運ばれた食べものは、まず前歯で噛み切られ、奥歯に運ばれて唾液と混ざり合いながら小さくすりつぶされ、嚥下(えんげ)されます。こうした一連の働きをスムーズに行うには、バランスのとれたよく噛める歯並びと咬み合わせが不可欠だというわけです。
■よく噛むことには8つの効用がある 稲毛会長は、噛むことが心身にもたらすメリットとして、次の8つを挙げて説明します。
噛むことの8大効用 ●食べすぎを防ぐ ●味覚の発達を促す ●発音を明瞭にする ●脳の働きを活発にする
●歯の病気を防ぎ口臭を少なくする ●発がん作用を抑える ●胃腸の働きを促す ●全身の体力向上とストレス解消
 
出典:公益財団法人8020推進財団「めざそう8020」より
「まず、よく噛むと脳にある満腹中枢が働いて、適度な量で満腹を感じるようになります。つまり、よく噛むことこそダイエットの基本というわけです。また、よく噛むと食べもの本来の味がわかるようになり、味覚の発達に役立ちます。さらに、きれいな歯並びで口をはっきりと開けて話すことは、きれいな発音にもつながります」
「そして、口のまわりの筋肉も使うため、表情がとても豊かになります。噛むための運動は脳細胞の働きを活発にし、噛むことで唾液がたくさん分泌され、口の中をきれいにして口臭の発生も減少させるという効果もあります」
「ほかにも、唾液に含まれる酵素には発がん物質の発がん作用を消す作用があるとされ、現在、研究が進められていますし、唾液の中にある消化酵素が噛むことでたくさん分泌されて胃腸の働きを促してくれます。加えて、よく噛むことによって力がわき、日常生活への自信を生むという精神面での効果も期待できます」
食べものをしっかりと噛むことは、心身を活性化させるための重要な働きを担っているわけですね。

こう考えると、よく噛むことこそ食育の基本。自分の歯で毎日の食事をおいしく味わいながら食べることは、心と体の健康を保つ第一歩であり、家族や仲間と食事を楽しみながら、ゆっくりよく噛んで食べることが生活の質(QOL)を高め、人生をより一層豊かなものにしてくれるのです。

★次のページでは、よく噛める歯並びについてご紹介!