Vol.05 キレイな咬み合わせで、めざせ!健康長寿

キレイな咬み合わせで、めざせ!健康長寿 健康寿命を伸ばす

健康寿命を伸ばす

 世界に名だたる長寿国の日本。2010年の国民の平均寿命は、男性79.55歳、女性86.3歳となり、厚労省では、このままいけば2022年には男性81.15歳、女性87.87歳まで平均寿命が延びると推計しています。寿命が延びるのはよいことですが、その一方で気になるのが「健康寿命」です。

 健康寿命とは「介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる」年齢のこと。いうなれば、平均寿命から平均療養期間を引いた数字です。

 日本人の場合、2010年の時点で健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳。つまり、男性は9年あまり、女性は約13年間も日常生活に差し障りのある"不健康な"療養期間があるのです。

 ちなみに、この健康寿命、2001年とくらべると延びてはいるものの、平均寿命に比べると延び率が小さく、9年前より療養期間が長くなっているのも気になる点です。

健康寿命と平均寿命の推移
資料:健康寿命は厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」
平均寿命は厚生労働省「簡易生命表」
(注)日常生活に制限のない期間が「健康寿命」、0歳の平均余命が「平均寿命」

歯と全身の健康に役立つ

丹根先生

お話をうかがった
広島大学大学院医歯薬保健学研究院
丹根一夫先生

 健康寿命を延ばすには、どうすればいいのでしょうか。

「それにはまず食事、睡眠、運動を適切に取り入れるなど日々の生活習慣を見直すと同時に、しっかりと咀嚼(そしゃく)できる安定した咬み合わせを保つことが大切です」と話すのは、広島大学大学院医歯薬保健学研究院 丹根一夫先生。

 咀嚼とは、食べ物を細かく砕き、唾液と混ぜて飲み込みやすい状態にすることです。

「食物をしっかり咀嚼することは、胃や腸の消化吸収を助けるだけでなく、中枢神経系に働きかけて食べ過ぎを防いだり、唾液の分泌をよくしてむし歯や歯周病を防いだり、言葉の発音を明瞭にしたり、全身のさまざまな機能を活性するのに重要な役割を果たしているのです」

 そのため、反対によく噛まずに食べると満腹感が得にくくなり、つい食べ過ぎてしまい、肥満につながります。また、咀嚼によって歯やあごが鍛えられないことから歯の組織が弱まり、さらにやわらかいものばかり食べるようになる...といった悪循環に陥ることに。

コラム 学校食事研究会が噛むことの効用をわかりやすい標語にしています。それが「ひみこの歯がいーぜ」。現代人にくらべて噛む回数が何倍も多かったと考えられている弥生時代の人々。邪馬台国の女王、卑弥呼もきっとしっかりと噛んで食べていたでしょう。

「ひ」:肥満を防ぐ
「み」:味覚の発達を促す
「こ」:言葉の発音がハッキリする
「の」:歯をむし歯や歯周病から守る
「は」:肥満を防ぐ
「が」:がんを防ぐ
「い」:胃腸の働きを促す
「ぜ」:全身の体力向上


「現代の食事はやわらかい加工食が多く、あまり噛まなくても飲み込めます。しかし、それは歯にも身体にもよくないこと。また、口の中にちゃんと噛み合わない歯があると、その歯のまわりにある骨や組織が萎縮して、その結果、歯と歯を支えるあごの骨の結合力が弱まって抜けやすくなってしまいます。つまり、歯は使わないと弱くなるのです。これは入院して寝たきりの生活を送っていると、筋肉が落ちて痩せてしまうのと同じ原理。歯が『噛む』という本来の機能を発揮するためには、きちんと噛み合う状態であることが大切です」

 食べものを噛み始めると、それに伴う感覚情報が歯を骨とつなげている歯根膜(しこんまく)などで捉えられ、三叉(さんさ)神経に伝達されます。その際、咬み合わせが不安定だったり、歯をなくしてよく噛めない状態だと、脳への信号の伝達が十分に行われないため、ストレスをためやすくなったりもするのだそうです。

 そして、それだけではなく、最近では安定した咬み合わせでしっかり噛むことが認知症のリスクを下げることもわかってきているのだとか。

次のページでは、脳の健康と歯の関係についてご紹介します。

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